第41話
「仏は実にありがたいものです。私に富と地位を与えてくれるのですから……どのような人でも死ねば仏になるとは、まさにこのことですね」
安楽に向けられた短刀の切っ先を見た瞬間、璃兵衛は強く思った。
”知りたい”と。
この短刀に生を終わらされた者達は最期にどのようなことを思い、何を願ったのか。
ここで腹を開かれて木乃伊となった遺体は何を思ったのか。
(それを知るために、俺は……)
「な、なんだ、その目……? 光って……」
「気にすることはない。これはただの目印だ」
「目印、だと……? 一体なにを」
安楽が呆然とつぶやいた次の瞬間だった。
格子を破り、何かが地下室へと飛び込んできた。
「誰だ!?」
安楽はとっさに手にしていた短刀を向けるが、そこにいたのは人ではなかった。
ばさりと、羽音がその場に響く。
羽音と共に美しい色の羽根を広げたそれは人の頭を持ち、首から下は鳥の姿をしていた。
「ば、化け物……いや、妖怪か!?」
「どちらもちがう」
人の頭を持った鳥は璃兵衛の手足の枷を鋭い爪で壊すと、身体を起こした璃兵衛の胸元に寄り添った。
「これはバー、魂だ。神聖なバーを妖怪と一緒にしてもらっては困る」
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