第4話

悠馬の意識が再びはっきりしたとき、彼は草の匂いと風の音に包まれていた。

「……ここが、あの世界?」

見上げると群青の空が広がり、遠くに奇妙な塔がそびえている。近くの地面には見慣れない金属片や、まるで魔法と科学が融合したような装置が散らばっていた。心臓が高鳴る。まさに彼が夢見た“武器の楽園”だ。


だが、感動する暇もなく、耳障りな音が空気を切り裂いた。

「伏せろッ!」

叫び声とともに爆発が起こり、土煙が巻き上がる。とっさに身を低くした悠馬の頭上を、赤黒い槍のような光が通り抜けた。

「な、なんだよこれ……戦争かよ!?」

状況を理解できぬまま顔を上げると、黒い甲冑をまとった“何か”がこちらへと突進してくる。人間のようで人間でない、角を生やし赤い瞳を光らせるそれは、神の言っていた「魔族」に違いなかった。


「くそっ、丸腰じゃねえか!」

本能的に逃げようとしたその瞬間、足元の金属片が眩しく光り、彼の手の中に一丁のライフルが現れた。

「……M1903スプリングフィールド!? なんで、こんなものが……!」

震える指で引き金を引くと、銃声が響き渡り、魔族の一体が地面に倒れ込んだ。衝撃と同時に、悠馬の中に不思議な感覚が広がる――まるで、この世界が彼の“願い”に呼応して形を与えているような。


「やるじゃねえか、人間!」

声の方を見ると、灰色の外套を纏った青年が剣を構えていた。彼は魔族の群れに飛び込み、鮮やかな剣技で次々と斬り伏せていく。

「立っていられるか? なら援護しろ!」

「お、おう!」

気づけば悠馬は青年と背中を合わせ、迫りくる敵を撃ち抜いていた。弾丸の軌跡が魔力の火花と交差し、戦場は混沌と化す。


やがて最後の一体が倒れると、青年は剣を収めて悠馬に手を差し出した。

「名は?」

「……神崎悠馬」

「悠馬、か。俺はレオン。ようこそ、“フロネシス戦域”へ。ここは人間と魔族の均衡が崩れかけている。お前みたいな新参が無事でいられる場所じゃねぇ」

「……俺は、ここで生きると決めた」

悠馬の瞳には恐怖よりも好奇心が宿っていた。戦場、武器、そして未知の世界――全てが彼の魂を震わせる。


レオンはそんな悠馬を一瞥し、口角を上げた。

「なら、生き残れ。お前が何者であるかは、それからだ」


その夜、焚き火を囲んだ野営地でレオンは語った。この世界は「統治者なき理の狭間」であり、人間と魔族の争いが終わる兆しはないという。そして、戦場の奥には“神々が封じた何か”が眠っているとも。


悠馬は空を見上げながら思う。

――なぜ、俺はこの世界に呼ばれたのか? あの神は何を隠していたのか?


胸の奥に芽生えた疑問と共に、彼の新たな人生が静かに動き出すのだった。

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ミリタリーな俺が華麗に世界征服~武器(美少女)とイチャイチャしながら進める異世界攻略~ @ten-P

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