二五話 「ほとけの国の美術」展
現在、府中市美術館(東京都府中市)で開催中の「ほとけの国の美術」展へ行ってきました。第五章は、円空仏を紹介しております。
この中には、埼玉県蓮田市の個人蔵で埼玉県立歴史と民族の博物館に寄託されている秋葉明神三尊の他、十一面観音菩薩、不動明王の脇侍である制多迦童子と矜羯羅童子、所蔵者が明らかにされていない観音菩薩が出展されています。
また、木喰仏も展示されているとのことで楽しみにしておりました。
4月28日、午前七時二十二分名古屋駅発の東海道新幹線のぞみに乗り、品川で下車。山手線外回りで新宿に出、高幡不動駅まで京王線で移動。そこから、多摩モノレールで万願寺駅で下車し、先に訪れたのは四月二十七日に再開館となった幕末の新選組副長だった土方歳三の資料館「土方歳三資料館」でした。歳三の兄のご子孫が運営されている個人資料館ですが、十時十五分に到着し中に入れるまで約九十分待ちという盛況ぶりでした。
今年五月一杯までは、土方歳三の愛刀の和泉守兼定が刀身、拵え共に展示されているので興味のある方は、お出かけ下さい。
その後、高幡不動駅まで戻り、昼食。
京王線で府中駅まで戻り、タクシーで府中市美術館へ。
駅から美術館まで千円でした。
さて、府中市美術館でのことを書いておきましょうか。
現在開催中の「ほとけの国の美術」展を知ったのは、今年3月上旬に発売が再開された「円空と木喰 微笑みの仏たち」の出版元である東京美術のホームページでした。
ホームページで確認すると、その第五章に円空仏についてまとめられている箇所があったので、思わず、「円空と木喰 微笑みの仏たち」の担当編集者に内容の確認を取っていました。これにより、府中市美術館で同展が開催されるということを知りました。
同展ホームページを確認すると、埼玉県立歴史と民族の博物館から寄託の秋葉三尊他が出展されているのを知り、また、木喰仏も出るということが分かり、嫁さんに今年のゴールデンウィークの前半は、東京日帰りで行こうかということにし、どうせなら土方歳三資料館がリニューアルオープンするからセットにしようと画策し当日を迎え、前述のことと相成った次第。
同展の展示内容もすごかったですよ!
何と言っても、往生要集を基に描かれた八大熱地獄の迫力は筆舌に難しと言ったところ。昔なら、「嘘を言うと閻魔様に舌を抜かれるよ!」と言うのが如実に描かれております。
さてさて、第五章の「円空仏」についてまとめておきましょうか。
先述した通り、埼玉県立歴史と民俗の博物館寄託のものは、蓮田市の個人蔵のものです。
何方のお宅のものかも知っていますが、公にするつもりはありませんのでご了承下さい。
秋葉三尊は、秋葉権現の三尊形式によるものです。怒髪に狐の本面。そして、狐に乗るのが三尊の共通項と言えます。
また、中尊は、明王の様式に近く、右手に宝剣を持っています。脇侍はそれぞれ宝珠を持つという違いがあります。
時折、円空展にも出展されるので見覚えのある像とも言えます。
十一面観音菩薩は、像高約七六㎝。
優しいお顔をされているので、ずっと観ていても飽きがきません。頭頂部の小面を略すことなく微笑む顔を彫ってあります。左手に水瓶を持ち、右手は与願印です。
制多迦童子と矜羯羅童子は、不動明王の脇侍です。
これまでに紹介してきた同様の像と違い、制多迦童子は宝棒などの武器を持たず、矜羯羅童子は右肩から掌を前に見せるかのような感じで上げています(合掌がそのように見える)。
ここまでは、円空学会でも真作として認められています。
問題は、個人蔵(詳細不明)の観音菩薩です。残念ながら、四月二八日から展示が取りやめになっています。
図録の写真だけで判別するのが難しい為、出掛けて実物を観て判断しようとしたのですが展示取り下げの案内も無いのは観覧者に対しても非常に失礼では無いかと思いました。
幾つか疑問点を挙げるのであれば、宝髪の生え際の処理、衣紋の彫りの特徴、台座が稚拙、こんなことが言えるのでは無いでしょうか。
いろいろ運営に対して注文を付けたいところですが、あくまで個人意見なので。
この件を除けば、出展されているものはなかなか良いのでお出掛け頂ければと思います。
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