八話 鑑定のこと(改稿済み)
円空学会に鑑定のお願いが来ることがある。
以前にも書いたが「円空学会」は江戸時代前期に生きた僧・円空、および彼の作り残した円空像などの研究、顕彰をしている団体なので、その一環として「真贋鑑定」をお願いされる訳である。
他の団体や業者のことは判らないが、円空学会はそれを無料で行う。
最初は、電話か手紙で「円空像らしいものがあるので、一度観て頂くことは可能ですか?」と言った感じだ。
最近では、それ以外の手段としてホームページやFacebookの「円空学会」を経由してくることもある。
手紙や電話の場合は、小島梯次・円空学会理事長か長谷川公茂・円空学会顧問の所が多い。
一方、メールでの問い合わせは円空学会のホームページやFacebookを経由してのものは僕の所に来る。
何年前だったか、「今出ているオークションで、本物か偽物かを知りたい」という問い合わせがあったが、本人の持ち物でないものをどうして鑑定ができるのだろう?と今でも不思議に思う。
もちろん、この時は丁重にお断りをした。
次の段階としては、写真を送ってもらう。写真は、実際プリントされたもの、画像データなど様々だ。
大体、どの方も二、三枚を送ってくるのだが、基本的に「全身正面、全身左右斜め前、全身左右側面、全身背面、正面上半身」を最低限送って欲しいと、こちらから要望する。
我々、円空学会の会員がどこをどう見て判断しているのかはここでは省かせてもらうが、まず、この写真判定で八~九割は消えてゆく。
そして、次の段階は、実際の鑑定に入る。所謂、検分というものだ。
所有者が近ければ、こちらから出向くこともあれば、遠方であれば小島理事長宅へお越し願う場合もある。それが無理な場合は、現物を送って頂くこともある。
小島理事長宅で鑑定をする場合の話をするのであれば、真作であればその場で採寸と記録撮影をする。記録撮影については、また別の話で。
円空学会では、鑑定書というものは出していない。その代わりに真作として認定されたものは、会報の「円空学会だより」で報告される。
これも書いておくべきことだと思うので、書いておこう。
鑑定の依頼を受け、「どちらで手に入れられましたか?」と尋ねると、多いのは「Yahoo!オークションで」と回答がある。
少なくとも、僕が知る限りYahoo!オークションで本物が出品されたのはこれまでに三例だけ(2023年に入って、本物が出展され約140万円で落札された。)である。
内一体は、飛騨地方の郷土資料館から盗まれたものの一体で、もう一体は像高約一〇cmの小さな観音像だった。
これは、覚えておいた方が良いのかな?
贋作(または模刻)とされるものには、必ず、モデルとなった円空像が必ずある。
まず、購入を考えられる前にいろいろな本を調べて、それが本物かどうか見極めるのが肝心である。
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オークションに出品された数を更新しました。
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