30 ピラニアの泉
ワープポータルから飛んでアスタータウンに戻ってくる。
「ふう」
僕は露店なんかを見て回る。
「初級ポーション5つ全部ください」
「はいどうぞ」
初級ポーションのバラ売りを買う。
大量に売っている転売屋さんや生産者さんもいるけれど、バラで少数売っている店はだいたい安いのだ。
安いけど数はないので、探すのが面倒といえば面倒だ。
「そういえば、森の泉の不活性のワープポータルが使えるようになったんだそうですよ」
「へえ」
ちょっと緊張する。
雑談を装って、露店の人に泉のワープポータルのことを伝える。
こうやって何人かに話せば、そのうち話が回って使われるようになると思う。
妖精のことは言えないけど、伝聞調で事実だけ伝えれば、詮索されることもない。
「森の泉って、アブライルの森の北にある綺麗な泉だよね、名前は忘れたけど」
「あ、はい。たぶんそうです」
「ほーん。今度、行ってみるわ」
「そうですね。綺麗なところだからいいですよね」
「ああ、ただピラニアちゃんがね、こうがぶっとね」
「あはは」
確かにあのピラニアにはびっくりする。
こうしていくつかの露店を見て、情報を伝えて歩いた。
そのうちの誰かから聞いた人が、掲示板とかSNSに書き込んで、公知になる。
妖精さんも姿を見せないかもしれないけど、人が来れば、寂しくなくなると思う。
NPCさんにも、何人かと会話してみた。
「アブライルの森の綺麗な泉のワープが使えるようになったそうですよ」
「おお、ピラニアの泉な、あそこのワープポイント活性化したのか」
「はい、ぜひ行ってみてください」
「ありがとう」
あの泉の名前はピラニアの泉というのか。
そのまんまだけど覚えやすい。
用事も終わったので、みんなでピラニアの泉にワープする。
飛んできたときにはまだ誰もいなかった。
「よし、それでは釣りをします」
「「はーい」」
3人で釣り竿を並べて、糸を垂らす。
針には疑似餌じゃなくて、ハムを刻んだものをつけてみた。
ぴゅーと投げると、ハムが沈んでいく。
水が綺麗でピラニアも見える。
投げた直後から近づいてきて、周りを旋回する。
ぱくっ。
びくんっ。
「きたあぁ」
すぐに食いついた。なかなか大きい。
ピラニアと引き合いをして、糸を巻き、そして釣り上げた。
水の中だと僕たちはピラニアの餌だけど、釣りをして水の上であれば、僕たち人間の勝ちだ。
立場が逆転するってなんだか面白い。
「ははは、あのピラニアに勝ったぞお」
「やったわね」
「お姉ちゃんやった」
釣り針に食いついたピラニアの口を開ける。
口にはギザギザの歯が並んでいて、とても凶暴そうだ。
僕たちはどんどんピラニアを釣った。
「おお、ここが泉ね」
知らない4人パーティーの人がやってきた。
「もう人がいるわ。さすがね」
「おお、一番乗りだと思ったのにな」
「ああ。でも2番乗りだな、さっさとワープ解放しよう」
「そうだった」
ワープポータルの石像に近づいて登録していく。
「おお、本当に活性化してる」
「前来たときは無反応だったもんな」
「どうして活性化したんだろう」
ぎくっって思ったけど、細かいことはみんな知らないから黙ってれば、へーきへーき。
ピラニアを釣り続けて、50匹くらい釣れた。大量だ。
しかしまだ泉にはピラニアがうようよしていた。
これを釣りつくすのは無理っぽかった。
「よしピラニア終わり」
僕たちは、周りの森に入ることにした。
泉のすぐ周りは敵がほとんどいない。
もう少し進むとゴブリンの巣になっているらしい。
噂通り、ゴブリンと遭遇した。
棍棒装備だ。
「うりゃあ」
「先制するわ、ファイア!」
「えいにゃあ」
僕たちは攻撃を仕掛けて、ゴブリンを亡き者にする。
ゴブリンは、ゴブリンの核という魔石を落とすタイプだった。
どのモンスターが魔石を落とすかは決まっていないけど、動物型よりは亜人系やスライムとかの魔法生物とかファンタジーっぽい敵に多い気がする。
またゴブリンパーティーを残滅した。
「やったまた魔石」
「やったわね」
「やったにゃ」
魔石は魔道具の燃料以外に、装備の強化にも使えるので、かなりお得だ。
有用アイテムを集めていると思うと、がぜんやる気になってくる。
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あらすじ情報、近況ノートなどにあります通り、この話で過去の執筆済み分が終了となります。
続きは完全未定となりますので、ご了承ください。
ここまで御覧くださり、ありがとうございました。
【6万文字】翡竜〈ひりゅう〉オンライン ~美少女と一緒にバーチャル美少女ほのぼのプレイ~ 滝川 海老郎 @syuribox
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