第14話 学食
食堂は、入り口前のホールに置いてある 日替わり定食の見本や定番メニューの見本を見て 自動販売機で食券を買って、配給場所で料理を受け取って、食堂のテーブルで食べたあと、食器を返却口を経て 出口に向かう形式だった。
これが 学食方式なんだそうだ。
母さんから 毎月の支給額は 見積書を出して交渉制だから、大学で入りそうな金額は下見の時からちゃんと控えて置くようにと言われていた。
だから まだ 人の少ない今のうちに それぞれのメニューの値段の上限・下限・最頻値(メニューの豊富な価格帯)をメモっておいた。
ちゃんと主食系(カロリーメインと栄養バランス重視別)とおやつ系に分けて
メモを取り終わったころには 学生たちがどっとやってきた。
「今日は僕のおごり」と兄さんが言ったので、思い切ってスペシャル定食をおねだりしてみた。私一人だと絶対に買わないメニューだから。
兄さんは チラっと私の顔を見て、「ぼくって 稼ぎのありそうな兄貴だと思われてるんだな」と言って笑った。
テーブルについてから「実際の所はどうなの?」と尋ねたら
「僕も 父さんに連れられて学校案内に来た時には スペシャル定食をねだって
おごってもらって 『稼ぎの良い父だと尊敬してもらえてうれしいよ』って言われたから。」ってはぐらかされた。
「ついでに言うと 僕もテーブルについてから あれはどういう意味って尋ねたら、父さんが子供の時に~って聞かされたから」と言って笑って「だいたいみんな同じことを繰り返していくんだなぁと愉快になったよ」と言ってニコニコした兄さん。
なんだかほっとしたような 落ち着かないような 変な気がした。
「なんかこう 自分の『初めて』の時と同じような経験をこうして体験できるっていうのが 兄貴のだいご味ってやつかなぁ。
僕は こういうの初めてだから 楽しいよ。
僕のうちの子になって 僕の妹になってくれてありがとう」と言われて 少しだけうれしくなった。
「そう言ってもらって すごくうれしい」小さな声で答えたら、
ちゃんと聞き取って うんうんとうなづいてもらえた。
「自分だけが人とちがうんじゃない、ちゃんと自分と同じ感情・同じ経験を持ったことのある人が身近にいて そのことをニコニコと話してもらえるっていいなと思った」って言ったら、「ハグの気持ちを送るよ」って返ってきた。
ハグの気持ち=精神的ハグかぁ いいなぁ^^v
家族と出会うまで(旧題パフェ@パフェ) 木苺 @kiitigo
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