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この危機をなんとかしたいけど、僕の力ではどうにもならない。
だからといってこのままタックさんを置いて逃げるわけにはいかない。このままタックさんを見捨てられるわけがないじゃないか! 弱気になってどうする!?
僕はここへ辿り着くまで、たくさんの人に支えられてきた。村長様やトンモロ村のみんな、ブラックドラゴン、シアの街の人々、レインさん、動植物やモンスターたち、そしてミューリエやタックさん。そのほかの数え切れない存在――。
こんなヘタレな僕を信じて、期待して、背中を押してくれた!
僕は勇者だッ――なんて胸を張って言える立場ではないし、その力もまだないけど、勇者の末裔としての誇りはある! 最後の最後まで諦めちゃいけないんだ!
タックさんひとり守れずに、何が勇者だ? それさえ出来ずに世界を救えるわけがない。
「何をしてるんだ! 早くオイラを見捨てて逃げろ!」
間近からタックさんの叫び声が上がり、思わず僕は彼の方を見た。彼は僕がいつまでもその場から離れないことに苛立っているようだ。
いつもの僕だったら心が揺らいでしまったことだろう。でも今の僕には確固たる信念がある。絶対に退くわけにはいかない。
「そんなこと僕には出来ません! 逃げるなら一緒にッ!」
僕はタックさんを真っ直ぐ見つめ、強く言い放った。
→15へ
https://kakuyomu.jp/works/16817139556074419647/episodes/16817139556075206504
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