第2話 スカウト
俺は神代 零。親父曰く5歳の時に交通事故にあい記憶喪失になったらしい。正直そんなの実感無いし、今の俺の邪魔にはなってないのでどうでもいい。俺には、有栖や親父、友達達が居ればそれでいい。あ〜それとVTuberだな。親父から記憶喪失だって事を聞かされてから、少し怖さもあったからVTuberに癒されに行っていた。当時5歳のガキが記憶喪失って言われたら怖がるのも当然だよな。まぁそんな事があってVTuberにハマった訳だ。さて、俺の事を心の中で簡単に説明している俺が今どこに居るのかと言うと、学校の教室だ。授業がつまらなくて寝ていたら、放課後になっていて現実逃避をしていた訳だ。
「帰んないの?」
「んぁ?…志乃か。」
「嫌だった?」
「いんや。嫌な訳ねぇよ。」
「っ……」
「おい、帰んぞ。」
「っ!待って。」
志乃が隣に来るのを待って2人で家に帰った。俺の横を歩いているこの超絶美少女は“本条 志乃”俺の幼馴染だ。白色のショートへアに金色の目を持つ美少女だ。6歳の頃から同じ小学校に通っていて、しかも同じクラスだった。少し有栖と似ていて淡々と喋る感じだ。けど、口数が少ない訳ではないので有栖とほぼ同じではない。
「あっ、悪い。俺買い物あるんだった。」
「なんの買い物?」
「夕飯の材料を買いにな。」
「そう。着いてこっか?」
「いや、夜も遅いし先帰っとけ。」
「……」
「明日も会えんだろ?そんな寂しがんな、可愛い顔が台無しだぞ?」
「っ!…うるさい。…またね。」
「あぁ、またな!」
志乃と別れた俺は近くのスーパーに向かった。
「さてと、今日の晩飯は何にしよっかな。……有栖にリクエストしてもらうか。」
有栖にリクエストを貰う為に電話をかけた。
『もしもし、おにぃ?』
『有栖今大丈夫か?』
『ん、大丈夫。』
『そか、なら本題に入るんだが、今日の晩飯のメニューが思いつかなくてな。だから、有栖にリクエストを聞こうと思って電話した。なんか食いたいのあるか?』
『っ!?オムライス!』
『ぷっ!いつものな。』
『……笑った?』
『…気のせいだろ?』
『絶対笑った。』
『……さて、オムライスの材料買って帰ろうかな。』
『おにぃ、笑った。』
『……な、何が欲しいのかな?』
『ふっ、イチゴのアイス。』
『い、イエッサー、マイエンジェル。』
『よろしい。…それじゃ待ってる。』
『了解。すぐ帰る。』
有栖との通話を切り、オムライスの材料を買う。家族3人分と有栖のおかわりようの材料を買いスーパーを後にした。
「あの、少しよろしいですか?」
「え?まぁ大丈夫ですけど。」
家に向かっている時に、謎の女性から声をかけられた。
「ここではなんですから、あちらのカフェでお話しませんか?」
「了解です。」
___________________
「それで話って?」
「その前に自己紹介を。私は“犬塚 由乃”ある企業のスカウトマン兼マネージャーをしています。」
「あっ、俺は神代 零です。学生をしてます。」
「ある企業と言ったのですが、詳しく言うとですね、芸能とVTuber専門の事務所ですね。ご存知ですか?」
「あ〜知ってます知ってます。ちなみに名前は?」
「企業名はフラブリィと言います。」
「フラブリィ!?それって、現VTuberのトップじゃねぇか!?」
「あっ、ご存知だったのですか!」
「そりゃ、勿論。そんでそのフラブリィが俺になんのようなんだ?」
「あっ、そうでした。神代 零さん。あなた、VTuberになりませんか?」
「……は?はぁぁぁぁぁ!?」
___________________
「…すんません、落ち着きました。」
「大丈夫ですよ。それで、どうでしょうか。」
「お受けしたいです。親からもしたい事は自由にしてくれていいと言われて居るので。」
「なるほど。あ、それと他に興味があってやってみたい事はありますか?」
「そうですね。俳優とか声優、モデルやらマンガ家、イラストレーターとかですかね。」
「なるほど。俳優と声優には演技力が1番必要です。モデルには顔。マンガ家とイラストレーターには画力。マンガ家には追加で作文の能力が必要になります。それらがあるとこちらが判断すれば、私が社長に頼み込み俳優、声優、モデル、マンガ家、イラストレーターにもデビューさせます。その代わりVTuberとなり、我が事務所に所属するのが条件ですが。」
「……分かりました。所属します。」
「分かりました。では、今ここで簡単に実力を把握しましょうか。」
「え?ここで?流石にカフェでは…」
「安心してください。ここは貸切にしてあるので声を出しても大丈夫です。」
「あっ、それなら。」
「では、まず演技力ですね。そうですね……愛の告白を演じて貰いましょうか。それに私がしっかりキュンとなれば合格という事で。」
「了解です。……いきます。…由乃、俺は君を…愛している。誰より、強く、深く。君は俺のこの想いを受け止めてくれるか?」
「…キュン。」
「合格……ですか?」
「ひゃい……はっ!は、はい、合格です!次はイラストですね。紙とペンがあるので描いてみてもらえますか?」
「了解です。」
1時間後
「終わりました。」
「確認しますね。……合格です!文章力はさっきのセリフを御自身で考えて頂いたので演技と共に合格として。最後のモデルに必要な顔なのですが……合格ですね。」
「本当ですか?」
「はい。明日に社長に会って頂きたいのですが大丈夫ですか?」
「はい!大丈夫です!」
「では、また明日ここで待ち合わせでお願いします。」
「了解です。失礼しました。」
__________________
「神代 零……ね。」
(私が見つけた逸材。初めはあの綺麗な銀色の髪に赤色の目の超絶イケメンを見てスカウトしてみたけど……正直想像以上。まず声が地声ですら超絶イケボ。そして、演技力、画力、文章力も天才的。……)
「見つけた。VTuberを含めた芸能界の頂点を獲る企業、フラブリィのトップに君臨する人を。神代 零…あなたは我がフラブリィの頂点に君臨出来る才能を持っている。必ず我が事務所に加入して貰わないと。その為にも早く事務所に戻って社長に宣伝しないとね」
全ての分野で神童と呼ばれた俺がVTuberで天下を獲る! @YuKi1681
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