第2話 解答編

「ブラックオパールやボルダーオパールの形状が偏っている理由ですね」

「楕円形状や自由形状が多かった。理由が知りたい」


 楕円はオーバル形状、自由はフリーシェイプ形状というみたい。ダイヤモンドのような多面体カットはファセットカット、オパールみたいなカットはカボションカットと芽衣子さんが教えてくれた。補足が終わって本題に入った。


「本当の理由はカットする職人次第ですが、最初の理由は歩留まりです。なるべく宝石品質部分を残したいために自由形状となりやすいです」

 自由形状のルースに目を向けた。視線を傾けてもきれいな面のみが見える。表面が凹凸しているルースもあった。


「表面が波打っているのも、きれいな面のみを残すため?」

「そのとおりです。ジュエリーとしては使いにくい場合もありますが、ルース単体で楽しむ分にはお得かも知れません」


「ひとつ目の理由がわかった。ほかの理由も教えてほしい」

「つぎはオパールの固さです。モース硬度と呼ばれています」

「ダイヤモンドが一番硬いのよね」

 天然で存在する物質で一番硬いのは有名だった。


「ダイヤモンドは最も硬い硬度10です。ルビーやサファイアは硬度9です。オパールは硬度6前後でカットが難しいです。硬度が低いと取り扱いも注意です」

 純粋に多面体カットが難しいみたい。


「オパールのルースやジュエリーは特別な保管方法があるの?」

 購入したルースはルースケースにしまって保管している。まだ数は少ないけれど今後のためにも知りたかった。

「硬度が高いルビーやサファイアと一緒にしまうと、傷がつく可能性があります」


「別々に保管するのが大事なのね。お手入れ方法も教えてほしい」

「オーストラリア産なら、柔らかい布やセーム革で拭けば平気です。産地によって特色がありますので、ほかの産地が知りたい場合はそのときに教えます」

 お手入れは思ったほど難しい方法ではなかった。傷がつきやすいみたいだから、取り扱いには注意が必要ね。


「別産地のオパールを買ったら、そのときに教えてね。形状に話を戻すけれど、3つ理由があるのよね。最後の理由は何?」

「オパール特有の遊色効果です。光学効果のひとつになります。光源があたると多様な色彩に変化します」


「見る向きを変えると模様や色が変わる効果よね。カットとの関係がわからない」

 どのようなカットでも模様や色は変わる気がした。

「カットで光の通り方が変わります。カボションカットが遊色効果を眺めるのに適しているからです。遊色効果のあったルースをファセットカットに再研磨すると、遊色効果が見えづらくなる場合もあります」


「宝石の種類によってカットにも特徴があるのね。オパールの色や模様が減ったらもったいない。美しい輝きには、いまの形状が適しているみたい」

 ほかにも理由はあると思うけれど、硬度や遊色効果はオパールらしい理由ね。

「オパールにはフリーシェイプの面白い形状も多いです。色々なルースを見て楽しんでください」


「教えてくれてありがとう。ほかのルースも眺めてみるね」

 ほかのルースへ視線を移した。時間を忘れてオパールを堪能した。


(了)

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宝石オパールは語る_2 ~ルースの形状~ 色石ひかる @play_of_color

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