記憶を返して

めちゃめちゃ良く出来た話です。

某文庫のノベル大賞に出して下さいと懇願したいぐらいに。

最初は千春の悩みを友人三人で解決する青春物かな? と思っていました。
しかし、とある事件によってガラリと日常が変わります。

見知らぬ青年クティに懐かしさを覚えた千春が、失くした記憶を戻したい! と、手を伸ばす姿がいじらしいです。

何故忘れているのか。何故既視感があるのか。
増えゆく登場人物によって、その謎が明かされてゆきます。

登場人物には各々個性と魅力があるので、違える事無く分かりやすいです。
終盤では、とある人物の存在にかなり惹かれました。

そして人物の動作や心理描写が、非常に細やかです。
読みながら、今どんな状況なのかが、映像のように幾度も浮かびました。

これから出る登場人物が見たかった。
あの場面以降一体どうなるの?!

最後に「変食さんと私」のタイトルを、心に刻みながら読んで下さい。
自身はタイトル回収されるまで気付きませんでした。
ちょっぴり恥ずかしい。

果たして千春は本当の記憶を取り戻せるのでしょうか。

(レビュータイトルは千春の想いを表しました)

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