冤罪で追放された悪役令嬢様は何でも屋になって自由に生きる

 悪役令嬢はもういない…どうしてかって?

 そりゃ断罪されたからさ。


 この世界に転生して気が付いたころにはもう手遅れだった。

 物語のヒロインにしていたやった覚えのないいじめの数々冤罪だと訴えても誰も信じてくれなかった流石わがままお嬢様のカルランである誰も信頼してくれなかった。


 ちなみにカルラン《私》は本当に何もしていない。

 例えばヒロインの大事にしている母親の形見のブローチだが壊したのは彼女自身だ。

 そこに私の指紋があると言われていたが触ってない一切触った記憶はない。


「誰も私が公爵令嬢だとは思うまい」


 高いドレスは売りお金に換えてきれいだと婚約者だった人に言われた髪の毛は泥やらで汚れてところどころ跳ねている。

 名前も捨ててシルっていう新しい名前を村の村長さんにつけてもらって。


 今私は何でも屋として生きている。

 行き場のない私に村の人たちは優しく接してくれた。

 その恩を返すために今はこうして家の修繕や配達、勉強を教えたりと充実した日常を送っている。


「確かに今農作業して泥まみれのお前をご令嬢さまとは思わんだろうな」

「でしょー?」


 胸を張って私は言う。

 彼はカイ。何でも屋を始めるきっかけをくれた大恩人だ。

 同い年でこの村ではとても仲良くさせてもらっている。


「畑の野菜が成長するたびに嬉しくて泣きそうになってる」

「達成感もあるだろ?」

「本当にそうね、ありがとうカイ教えてくれて」


 彼が根気よく教えてくれたおかげでこの暮らしができる。

 言い方はキツかったけどね。

 でも本当にありがたいなぁ、いつかなにか恩返しをしたい。


 これからも平和に過ごせるなんて思っていましたが、現実は甘くないと思いました。


 今日は子供たちに勉強を教える日で教会の一室を借りて週に二回行っている。

 子供たちはどの子も意欲があって教えていて楽しい。


「おねーちゃんお客さん来てるー」

「ありがとう今行くね」


 少しだけ身なりを整えてお客さんのもとへ足を運ぶ。


「すみません待たせてしまい…?!」


 一体私に何の用だと思い足を運んでみればそれはそれは見覚えのある高い服にきれいに手入れされている顔。

 私とは真逆の存在である男が目の前にいる。


「久しいなカルラン」

「お、お久ぶりです…殿下」

「俺とお前の仲だろう?ルイと呼んでくれて構わない」

「私は平民です立場が違います」

「この俺が許可しているのだからそう呼べ」


 カルランもそうだがこの人も性格がひどい。

 上に立つ人間ってこんなにも偉そうなのか?

 気色悪い。こんなやつを好きだったカルランの頭がイカれていると思う。


「はい…ルイ様」


 家に案内したくないが、村の人たちがチラチラと心配そうに見ているので私の家に連れて行った。

 家に案内してからが地獄だった。
















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作者ダラダラ短編続きそうだけど没にしたやつとか 赤猫 @akaneko3779

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