10 最終話

 イバンとミアを連れて向かった魔王城は……思っていたモノとはちがいました。あ、私これでも魔法は一通りこなせますので、護衛はいらなかったりもしますの。

 魔王イコール倒すべきモノ、そう思っている人族はたくさんいます。ですが、ついた魔王城はなんと! 天界にあったのです。彼は、神様が世界の均衡を保つために作った『神の補助者』だったのですよ。

 なので、神様と同格に扱われるそうです。知りませんでしたわ。


 

「まさか、魔王が神様だったなんて……」

「拍子抜けしたか?」



 そして。嫁ぐと意気込んできたものの、一目惚れしてしまいまして。

 一週間かかりましたが……落としましたわ! フフフ。

 ミアには呆れられましたが。イバンは褒めてくれたのですよ?

 

 

「いいえ! とても素晴らしいですわ! エルメネヒルド様は」

「エル、でいい」

「では、エル様。エル様はフェリクス殿下おバカさんとちがって、私が誰かを差し向けたとしても――私ただ一人を愛してくれるのでしょう?」

「ああ、面白そうだからな。マルティナのような女は――他にはいないだろうし」

「でしょう! なのでエル様のために、使えないものたちはこの私が全て蹴散らして差し上げますわ!」

「……ほどほどにな」


 

 といったように。

 今日も私は世界の均衡のため、使えないやつらを元気にシメていますわ!

 それでは、またお会いする日まで。お元気でいてくださいね、お父様。ヘラルドお兄様。

 


「そういえば」

「どうした?」


 

 振り向くと、ちょうど眼鏡のふちを押し上げるところのエル様。これは、これで素敵なのですが。


 

「眼鏡姿も素敵ですが、昨夜のようにお外しになった姿も素敵でしたわ」

「……君は、いったい何を見ているんだ?」

「もちろん、世界一素敵なエル様ですわ!」

「……」

「あら、お顔が真っ赤」

「きっ君が、そうさせたんだろう⁉︎」


 

 少々からかいがいのある魔王様との生活は、退屈が嫌いな私にとってちょうどいいのかもしれません。

 

 

 ***

 

「また、楽しそうなことをしているなぁ」


 

 優しい目で手紙を読み終えた父であるタリスマン公爵は、娘からの手紙を暖炉だんろにそっとべた。

 残るのは、愛娘の破壊した国置き土産



 完

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ヒマを持てあます令嬢の人生ゲーム 蕪 リタ @kaburand0

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