人が食べているものって美味しく見えますよね。

32


前回のあらすじ

年下のお友達ができました。

ルゼルたんに怒られてます。


★異世界にトリップしましたが、何の能力も無くて生きるだけで精一杯です!★


「ほんっとうに、ありえませんわ!

私を忘れるとかどういうことですの!!」


「ごめんて。」


ルゼルたんがベッドの上で毛繕いしながら怒っています。

私?私は床で正座中だよ。


「そんな謝罪では許さなくてよ!!」


「申し訳ございません。」


ルゼルたんが見ていないところで、私はブラシをとった。

この説教から逃れるにはこれしか無い。


「聞いていますの!?

誠意が足りないと言っているのですわよ!!」


「はい、反省しております。」


謝罪をしながらルゼルたんにブラッシングをはじめる。

最初は牙を剥き出しにしたが、2往復するだけでトロトロに溶け出した。


「ふ、ふあぁぁ。

こんな事で許す私では無いのですわよ。」


「そうですよね。

誠心誠意、ブラッシングしますね!!」


その夜、ルゼルたんの喉を鳴らす音と甘ったるい猫の声が響いた。



-------------------------


「てなわけで、今度ルーナちゃんと第一皇子のお茶会に参加します。」


「そうか」


本日、私の職場にホワイトさんがやってきました。

お祭りの後からだが、ホワイトさんとは週1でご飯を食べながら近況報告をしている。


本日は私が少し早く上がれる日なので、うちの職場でご飯を食べながら近況報告だ。


私考案のアヒージョもどきをホワイトさんは気に入っていて、かったい表情を少し和らげながら食べている。


「次の茶会は2週間後の予定だったか。」


「はい、毎週行うみたいなんですが聖女様の気分転換の為に遠出するみたいで今週はお休みみたいです。」


「ああ、聖女…」


私の言葉にホワイトさんは眉間に皺を寄せた。


「…聖女様が苦手なんですか?」


「まあ、苦手意識はある。」


ホワイトさんはため息をついてアヒージョを口いっぱいに詰めた。

食べ方がハムスターのように頬をぱんぱんにしながら食べるので少し可愛い。


顔は無表情だがな。


「聖女に会う可能性があるな。

気をつけろ。」


「何に気をつけろというのですか。

会ったこともないのに。」


ホワイトさんは「ふむ…」と言いながら顎に手を当てて考える仕草をした。


「二人の異世界人は常に喧嘩している。

巻き込まれると、最悪死ぬぞ。」


死ぬって。

死ぬって大袈裟な。


「大袈裟すぎません?」


「聖女は魔法の力が強く、薔薇の乙女は戦闘力が高い。」


「あ、近づかないようにします。」


元から近づく予定はなかったが気をつけよう。

巻き込まれると死ぬ。


「聖女様ってホワイトさんから見て、どんな人ですか?」


「薔薇の乙女は会う機会が多いが聖女はあまり会うことはない。


そうだな…皇子や公爵家のご子息、騎士団長のご子息などの男性陣とよくいるのを見かける。


私や宰相、スミスを見かけると話しかけにくるが他の騎士たちとは話してるのをあまり見かけないな。」


お、おう…

顔が良いところを選び抜いてやがる。

さすがですね。


「聖女として今は大事な時期だからと会う人は限られている。

学園にも通っているが、それもどうなるか分からないしな。」


「学園に通えなくなる可能性があるんですか?」


「簡単に言えばそうだな。

言える範囲はここまでだ。」


うーん

小説でよく見る逆ハーレム希望の女子にしか見えない…


これ、ルーナちゃん大丈夫なのか?


「ところで、タチバナ。

アヒージョ食べないなら貰うぞ?」


「ダメです。」


悲しそうな顔するんじゃないよ。

再度注文しなさいよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

異世界にトリップしましたが、何の能力も無くて生きるだけで精一杯です! 小林ぬこ @kuma1923

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ