琴線
数学に集中しすぎたせいか、他の科目は瞬きをする間に終わった。テストを終えた私には残念ながら自信など微塵もなかった。
芥川の言葉を借りるとするならば、私は自身のテストに六分の恐怖と四分の好奇心を抱いていた。まさに、怖いもの見たさ。
結果はどうであれ、憂鬱で忌々しいテストが終わったのだ。腐っても彼らは学生、遊ぶ以外の選択肢などない。さあどこへ行く⁉︎ボウリング⁉︎カラオケ⁉︎映画⁉︎
いつだってそうさ。苦痛は最高のスパイスになる。なにをしたって楽しいものになる。
彼らが選んだのはボウリングだった。各々が自分の登録名を元カノの名前にしたのはいい思い出だ。平日に昼なだけあって、人はかなり少なかった。テスト終わりなだけあって、皆はしゃいでいる。皆が笑顔で球を転がし快音を鳴らす。私も負けじと13ポンドの重い球を力んで投げたものの端3本を掠めてレーンの奥へと吸い込まれていった。点数は可もなく不可もなくといったものだったが、ピンと張ってうんともすんとも言わなくなった琴線も緩んで綺麗な音を奏でるようになった。
スタディーフルーツ Mac @baumasin
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