仰天
数学Aのテストを知らせるチャイムが静かな教室に響き渡る。
白紙のテストを裏返すと、あまりの衝撃に私もひっくり返ってしまいそうになった。
問題が「少数精鋭型」だったのだ。
100点満点のテストで問題数はわずか10問ほど。
私は思わず問われている確率よりも先に適当に書いた答えが当たる確率を求めてしまいそうになった。
私は脳の引き出しにぐちゃぐちゃに詰め込まれた知識のメモをまっすぐに引き伸ばしながら最善を尽くしたが、結果はとにかく酷いものだった。
私は天を仰いだ。
あの努力が報われなかったのだ、天を仰ぎたくもなる。
しかし、テストを回収するために後ろから回されてきた答案用紙が不意に見えてしまったのだが、奇しくも私の列には数学嫌いが多く、答案用紙はかなり白かった。
それに、もはやテストとセットとも言える友人との答え合わせタイムでは、
みんな不安な表情をしていた。
「みんなできてないから大丈夫。君の努力はきっと報われてるよ」
私はこの言葉に掬われた
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