第2話 冒険者の五人
世界に新たな〝勇者〟の誕生を告げる、
どうにかガルマニアへと到着し、現地での用を済ませたエルスたち五人は、トロントリアから西方に位置する〝ランベルトス〟の街へと戻ってきた。
「うへェ……。
あの〝
なかには勇者との手合わせを望む者や、善意に
「ははっ、おかえり。あんたも立派になったもんじゃないか」
エルスたちが冒険の
「おかえりなさい、エルス。ふふっ、この〝エルスネスト〟にも、加入希望者が殺到しておりますことよ」
ドミナに続き、長い金髪を優雅にカールさせた、若い女性がエルスを出迎えた。
彼女の名はクレオール。ドミナと同様にエルスが
「そッ、そうなのか……。うーん、仲間が増えるのは嬉しいけど、俺たちは行かなきゃいけねェ
「ええ。有望な人材以外は、すでに追い返しておきました。見込みのある者たちにはギルドの職員として、
そう言ってクレオールは自身の制服であるメイド服の
このランベルトスの国家元首である、
「おー! さすがはクレオール、正義を見極める眼は確かなのだー!」
「うん。クレオールちゃん、最近なんだか楽しそうだよねぇ」
「あはは……。少しワクワクするような……? でもやっぱり怖いような……?」
ギラギラとやる気を
*
「そンじゃ帰ってきて早々だけどよ、俺たちはカルビヨンに向かうぜ! 予定よりも随分遅れちまッたしな」
「そうだね。ユリウスさんにも挨拶できたし、いよいよ出発だねぇ」
エルスたち五人は船に乗って〝海の向こう〟へ渡るべく、港町である〝カルビヨン〟へ向かう計画を立てていた。
その長い旅立ちに際し、新生ガルマニア共和国の代表であり、ギルドの仲間でもあるユリウスの元へと、出発前の挨拶へ向かっていたところ――トロントリアに差しかかったあたりにて、いきなりルゥランに捕まってしまったのだ。
「でもまさか、いきなり〝勇者〟になれッて言われるとは思わなかったけどな……」
「なんだか
「んー、俺も会ったのは二回か三回なんだよな。でも
ルゥランがエルフの大長老であることはエルフ族の中でも一部の評議会員しか知らず、当然ながらハーフエルフ族であるティアナには、その事実を
しかしながらエルフの血族としての
「ええ。くれぐれも気をつけてね。この〝
「かーなり改良したとはいえ、まだまだ試作品だからねぇ。さすがに海の向こうにゃ届かないたぁ思うけど――。まぁ、
「ああ、任せてくれ! そンじゃ、
心配そうな表情のクレオールに対し、エルスは満面の笑みを浮かべながら、自信満々に親指を立ててみせる。
そして五人は仲間たちの待つ商館を
*
ランベルトスを
「ずいぶん人が増えたねぇ。前に通った時は、わたしたちしか居なかったのに」
「どうやらランベルトスとカルビヨンの衝突が終結し、
「なんだか行き交う馬車なんかも、派手派手になっているような……? ほら、
ティアナの指さした方向を見ると、
その他、街道を
「
「ふふー! ミーたちはそれだけのことをやり
世界の変革期。それを
ミーファの発言のとおり――。ギルド制度の拡大にしろガルマニアの解放にしろ、世界がここまでの大変革をみせるに至ったのは、これまでのエルスらの冒険と活躍による
*
「さすがにこんなに人がいると、魔物や盗賊も出てこないねぇ」
「そうだな……。そこらじゅうに冒険者がいるし、俺らは先を急がせてもらおうぜ」
冒険者としての役割の一つに、日々の〝
この世界・ミストリアスに際限なく現れる〝魔物〟と呼ばれる存在は、目についた人類を手当たり次第に
いまも街道の周囲では、冒険者らが武器を手に、魔物を退治すべく
「今回は船に乗るだけだし、街に着いたら少しゆっくり休もうぜ!」
「せっかくの港町だし、観光とかお
「ふっふっふー! ミーはカルビヨン名物を喰らい尽くしてやるのだー!」
新たなる
「――さて。無事に出航できれば、いいんだがな」
「ニセルさん、どうかしたの?」
小さな
そんなニセルの視線の先――。
カルビヨンの町の上空には、
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