第9話 不思議な迷宮探索者
二人の前に現れた、アルティアナと名乗る少女。彼女の長い金髪は
そんなアルティアナはスカートの
「うーん? アルティアナ――さん?」
「んんッ? 不思議なダンジョン? クエスター?」
アリサとエルスは疑問符を浮かべながら、〝考える〟ようなジェスチャをする。
白と水色を基調としたエプロンドレスに、
「不思議な〝
アルティアナは
「すっ、すみません! あの、できれば〝私の名前〟は黙っておいていただけると……。ウッカリ〝本名〟を先に名乗っちゃって……」
「へッ? まぁ
「そうですね……。では〝不思議なティアナちゃん〟でお願いします!」
全身をくねらせながら独特のポーズを決め、アルティアナが言い放つ。そんな彼女であったが、明らかに困惑した様子のエルスを見るや、即座に別の提案をする。
「やっぱり……、普通の〝ティアナ〟でも大丈夫です……」
「そ、そうだな……。いいと思うぜ。よろしくな、ティアナ!」
「ティアナちゃん、よろしくねっ」
微妙な空気こそ流れたが、何はともあれ自己紹介を済ませた三人。
アルティアナいわく、どうにも『急を要する用件』とのことで、詳しい依頼内容は現地へ向かいながらの確認ということになった。こうしていつも〝
*
「それで、こんな〝森〟に入って、俺らは何をすりゃいいんだ?」
「魔物の気配とかも無いみたいだねぇ」
アルティアナに連れられながら、街外れの森の中を進む三人。木々の隙間からは
「ここは
「んー? こんな
エルスは周囲を観察しながら、森の中を進む。幼少期を
「はい! 少し前に、このティアナが見つけました!――それで、そのことをウッカリと……。その……、
「えっ? まさかそれって――」
驚いたように口元を押さえるアリサに対し、アルティアナが
「ちっ、違いますよっ!? 私が産んだ子供じゃなくて、孤児院の子たちで……。だって私には、まだ〝相手〟もいないし……」
「いや、そっちじゃなくて! まさか、その
エルスからの指摘に対し、アルティアナが
「はい……。今度、『お宝を見つけてくる』って話をしたんですけど……。昨日、元気な子たちが抜け出したみたいで……」
「無理もねェ……。俺もガキの頃に聞きゃ、そうやって無茶したかもな……」
この退屈な王都の近くで、新たな
「今朝、教会へ
アルティアナは
「ああっ、神さま! 本当に、あそこにエルスたちがいてくれてよかったぁ……!」
「でも、そういうことなら〝兵士〟の人たちの方が早いんじゃ?」
アリサからの疑問を受け、アルティアナが〝ギクリ〟と全身を
「それは……、えっと……。もし私がお昼までに戻らなかったら、
「んんッ? なーんか、さっきから引っ掛かってるんだよな……」
さきほどからアルティアナは、明らかに〝なにか〟を
「もしかして、ティアナちゃんって〝王女さま〟なんじゃ?」
政治に関する知識に
「うっ!? やっぱり私の不思議なんて、すぐに
「あー、そうなのか……。なんか雰囲気が〝仲間〟に似てたンだよなぁ……」
エルスは、ミーファのことを思い浮かべる。
この世界の〝王女〟は国や種族を問わず、世を忍びたがるものらしい。
「ううっ……。第一王女たる私の不注意によって、愛すべき国民を危機に……。大罪を犯した私は裁きを受け、国外へ追放されて、最後は
「まぁ……。ガキ――じゃなくて、子供ッてそういうモンでありますから……」
「はい。どうかお顔をお上げください、王女様っ」
責任感が強いのか、感情の起伏が激しいのか。
「とッ、とにかくですぞッ! まずは子供たちを見つけ――お探しませぬと……! 我らファスティ――じゃねェ。冒険者どもも、ご協力は惜しみませぬので……!」
カダンの口調を真似ているのか、エルスの口からは妙な言葉が飛び出している。
「そう……、ですよね……。どうか、お願いします! あと、二人とも……。できれば、これからも〝普通〟に話してほしいなって……」
「えッ?――ああ、じゃあそうさせてもらうぜ!」
エルスは
*
清涼感のある森の中、三人が歩みを進めてゆくと、やがて前方に小さな丘が現れた。その
穴の入口は大人が
「これが、その
「はい。下見した時には魔物もいなかったんですけど、思ったよりも広くて……」
「わたしたち、こういうのの攻略は初めてだけど。大丈夫かなぁ?」
また、
「確かに不思議だよなぁ、
「はい! 私も
「それじゃ道案内はティアナちゃんに任せて、わたしたちは戦うのを頑張ろっか」
アリサの言葉に、エルスとアルティアナも同意する。そして三人は気合いを入れ、未知なる
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