第38話 生けとし存在たちの攻防戦
圧倒的な回避能力を誇る
「
「ハッ、
「みんなッ!
エルスは
「いくよ、ミーファちゃんッ!」
「おー! いまこそ正義を示してやるのだー!」
「アリサ、気をつけろ! また
「うんっ! でも、逆にチャンスかも?」
「そう思ったけどよ、やっぱ危ねェ予感がするぜ!」
「かしこまったのだ! 正攻法で、ボテっ腹に風穴を
ミーファは垂直方向へ
「ハッ! マヴィスト――ォ!」
敵の着地点を狙い、ジェイドが
「そこッ! はあぁ――ッ!」
ジェイドが放った
アリサは燃え上がる剣を逆手に構え、死角となった下腹部を目がけて突き立てる――が、先に
「くうぅっ……!?」
炎の剣を手にしたまま、アリサは高速で宙を舞い、後方の壁へと激突する。
「アリサ!?」
攻撃の準備をしていたエルス。しかし彼は呪文の
*
「無駄デス。
「ハッ! どうだかなぁ? 俺様には、しっかり効いてるように見えるぜ?」
「ふふー! また小さくなったのだ! 正義の眼は
「愚カナ……。馬鹿なこと言ウ――」
確かに体積の低下を示すかのように、
「認めナイ……。
勝利の宣言と共に、単眼が怪しげな光を発する。その直後、
「シシッ! お嬢様、危ないのぜ……!」
強力な攻撃を察知したザグドが、クレオールの前で両腕を広げる、小柄なゴブリン族の彼ではあるが、
「あっ、ザグド! ぅくっ……!」
ザグドの無茶を制止すべく、クレオールが立ち上がろうとするも――。押し寄せる力の
「グアッ! ガガアア――ッ!」
「こっ……、このままでは……」
耐えてこそはいるが、ザグドの傷は
「マルベルド――!」
光魔法・マルベルドが発動し、光の結界がクレオールの周囲に展開される。光壁によって
「ザグド、大丈夫ですか? 皆さまの様子は……」
クレオールが周囲の仲間へ目を向ける。程度の差こそあるものの、皆は一様に身を伏せながら、この謎の力に耐えているといった状況だ。
「
クレオールは立ち上がり、右手で
「せめて
「くっ! やはり――」
「その攻撃は無効デスよ。
「えっ……?」
目を見開いたクレオールの顔を、
「クレオール! 逃げるのだ!」
危機を察したミーファが叫び、闇色の脚に自慢の斧を振り下ろす。しかし、魔力を奪われた
その直後、
「お嬢様ァ! ウォォォ――ッ!」
光がクレオールを貫く
「あっ……! ザグド!」
石の床に
そして光が治まった後。クレオールの視界に最初に飛び込んできた光景は、さきほどの光線によって右腕と右脚を
*
「エルス! 大丈夫?」
アリサに抱き起こされながら、エルスが
「イテテ……。クソッ、また
「ごめんね、わたしが失敗したせいで……」
連係攻撃に失敗し、
「ありがとな……。みんなは無事か?」
「うん。でも、さっきすごい光がクレオールさんの方に……」
「なッ、なんだって!?」
「よかった……。クレオールは大丈夫そうだぜ……」
再びアリサに礼を言い、エルスが自力で立ち上がる。彼女の治療の甲斐あって、目立った外傷は癒えたものの――。体内にもダメージを負ってしまったのか、口や耳などからの出血も見られ、時おり脇腹を押さえている。
「ミーファたちに加勢するぜ。アリサ、いけるか?」
「うん、大丈夫。行こっ!」
言いながらアリサは剣を抜き、再び前線に立つべく戦場へと走る。そんな彼女の勇ましい背中を、エルスも急いで追いかけた。
*
「ザグド……。
ザグドは
「クレオール。いまは放っておけ。
「ニセルさま、そんな――!」
「こちらも長くは
「
「ああ。
「それでは
「あの〝甲高い音〟か? それなら大体は特定できるが」
首を
「ふっ。なるほどな。可能性は高い――。いや、
「どうにか
「わかった。オレが伝えよう。まだ〝切り札〟が残っていてね」
ニヤリと口元を上げながら、ニセルが左手の指を自身の額へと押し当てる。そして彼は固く目を
*
「もう終了しまショウ。
「ハッ!
「ジェイド! ミーファ!」
「ご主人さま! アリサ! 無事でよかったのだ!」
駆けつけてきたエルスの声に、ミーファが嬉しそうな声を上げる。続いて
「群れたところで無意味デス。敗北を受け入れナサイ」
「へッ、負けられるかよッ! まだ最終決戦は始まったばかりだぜッ!」
エルスは不敵な笑みを浮かべながら、巨大な目玉を指さしてみせる。そんな
すると、その
エルスの頭の中に、突然〝声〟が響きはじめた。
《エルス。みんな。聞こえるか?
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