第26話 陰謀との対峙
ゼニファーの
「こりゃあ、かなり遠いな……。歩いて
「それに、なんだか暑そうだねぇ。今は
「ふっふー! そこに悪がいる限り、海でも砂漠でも突き進むのだー!」
周囲の景色を珍しげに
「もぅ、暑苦しいロリっ子ねん。それに
「むー? なぜミーのことがわかったのだ?」
ミーファは
「金髪のドワーフなんて王族だけでしょ。まさか自分たちのことも知らないのん?」
「わわっ! この正義のメイド服の弱点を見抜くとは、
驚いたような仕草をしつつ、ミーファはエルスの脚の
「なぁなぁ、じゃあさ! 銀髪の人間は?」
「はぁ、おめでたいわねぇ……。知らないわよん。銀髪なんて、いくらでも……」
そこまでを言いかけて、ゼニファーは思わず絶句した。そもそも〝銀髪〟をした者など、どこかで見かけることがあっただろうか?
ゼニファーは記憶を
あれは、まだ彼女が夢を追っていた〝学生〟の頃。
正確には、十三年前の――。
「んッ? どうしたんだ? 腹でも痛くなっちまッたのか?」
「そんなワケないでしょ。……
ゼニファーは長い
「へッ! 激戦の前に、わざとリラックスしてるだけさッ」
「
「えっ? 一緒に戦ってくれないんですか?」
アリサは口元に指を当てながら、ゼニファーの顔を
「当たり前でしょ。あたしは連れてくダケよん。……まったく、こんな甘えた子たちが、よくも〝
「エルス。要注意人物ねぇ……」
ゼニファーはエルスを横目に
*
「ほら、着いたわよん。じゃ、頑張ってねん」
マフレイトを解いたゼニファーは目の前にある、両開きの扉を指さしてみせる。
「ここが
「わたしたちだけじゃ無理だったかも。ゼニファーさん、ありがとうございますっ」
「礼を言うのだ! ふふー、ついにミーの正義が爆発する時なのだー!」
エルスたちは口々に礼を言いながら、ゼニファーに明るい笑顔を向ける。そんな三人を追い払うかのように、彼女は「シッシッ」と手を振った。
「はいはい。そーゆうのはイイから。さっさと行きなさいよねん」
案内してくれたゼニファーと別れ、エルスが扉に手を伸ばす。すると「ピッ」という聞き慣れない音と共に、ひとりでに門が入口を開けた。
「へッ、お待ちかねッてことか! それじゃ二人とも、行くぜッ!」
扉の内部には真っ直ぐな通路が続いており、先には暗闇の空間が広がっている。エルスたちが門をくぐってゆくと、今度はひとりでに、通路に明かりが
*
「わぁ。なんだか不思議だねぇ」
「この建物、見たことのない様式なのだ。
「ああ……。なんか気味が
天井に取り付けられた
通路の壁は無骨な金属板で
彼らが進み続けると――。やがて真っ直ぐな通路は途切れ、ただただ〝闇〟だけが支配する、広大な空間へと辿り着いた。
「何か出てきそうだな……。よし、戦闘準備だ」
エルスの額を、冷たい汗が伝ってゆく。
さきほどから周囲には低い振動音が響いており、洞窟の中ということもあってか気温も低い。エルスは剣に手を掛けながら、闇の中へと踏み入った。
すると大広間の一点に、
「
声の主は眼鏡を掛け、白衣を着た紫色の髪の男。ランベルトスの裏で
*
「へッ! ついに見つけたぜッ、ボルモンク三世ッ! さぁ、クレオールを返せ!」
「おや、おや? これは
「ふっふー、当然なのだ! 正義の賞金稼ぎからは逃れられないのだー!」
ミーファは不敵な笑みを浮かべ、取り出した手配書をボルモンクへと突きつけた。
「むむむっ……!? なんですか、そのマヌケなイラストは! この我輩の知性あふれる顔を、よくもまぁ……!」
「えっ? そっくりだと思うけどなぁ」
不服そうなボルモンクに対し、アリサは不思議そうに首を
「ああッ!
「ほう、ほう?
ボルモンクは
「いいぜッ、言ってやるッ! あんたは
「ふむ、それで?」
「へッ……?
「はぁ。やはり見た目の通り、単純な愚か者のようですね」
ボルモンクは失望したかのような
「なッ、なんだよッ!? 馬鹿にしやがって!」
「まぁいいでしょう。
「さっきから実験台ッて、どういう意味だッ! まさかクレオールも……!?」
「彼女は
そう言ったボルモンクが指を鳴らす。すると彼の背後に、台座の付いた黒い石版が床からせり上がってきた。どうやら彼は、本気で〝講義〟を始めるつもりらしい。
「うー、悪だくみの説明なのだー? まさしく悪人の〝お約束〟なのだー!」
「ちょっと面白そうだねぇ。せっかくだし聞いてみよっか?」
「今はヤツの出方を見るしかねェか……。クレオール、無事でいてくれよ……」
降魔の杖を
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます