第12話 はじまりの遺跡
はじまりの遺跡。これは
旧世界が終了し、
◇ ◇ ◇
魔術士ザインの
やはり事前に聞かされていた情報どおり、遺跡の正面入口からは原因不明の異変によって、魔物たちが
この場所は広間のような空間となっており、壁に設置された
現場に入ったザインは
「おおっと!――なんか久しぶりに、自分の足で立ったような気分だぜ」
「そうだね。ずっとフワフワしてたのに。不思議な感じ」
二人は足場を確かめるかのように、ひび割れた石床に靴音を鳴らす。この感覚に慣れるまでは、うっかりバランスを崩してしまいそうだ。一方、すでに慣れた様子のカダンはザインに近づき、団長として彼に
「ザイン、ご苦労だった! しばらく休んでおいてくれ!」
「はい、団長。
ザインは一同に敬礼をし、広間の奥まった一角にある、細い通路へと去ってゆく。
アリサは彼の後ろ姿を目で追いながら、自身の口元に指を当てた。
「さっきの話、ちゃんと聞いてたんですね。ザインさん」
「ハハ……。ああ見えて彼はかなりの
エルスたちはカダンに連れられ、広間に
ここでも数本の
そうした
「任務、ご苦労!――状況は?」
「ハッ! 団長! 残念ながら
そこまで報告した団員は周囲に目配せをし、やや声を
「……むろん、この原因の大元を探るべく、内部の探索を続けてはおりますが……。なにぶん負傷者の収容に手一杯で、あまり
「ウム、良い判断だ。くれぐれも人命を最優先で頼む。ファスティア自警団は〝人々と街の安全〟を守ってこそ、だからな!」
「ハッ! 承知いたしました!」
部下からの報告を受けたカダンは、エルスとアリサの方へと向き直る。いつの間にか二人は背後に
「お聞きの通りです、お
「おッ……、おうッ! 了解だぜ!」
「すごいことになったねぇ。エルス」
「未熟な新兵の訓練所となっていたしてとはいえ、この場所は
今後の方針を固めた三人は拠点部屋へと戻り、今度は遺跡の奥へと通じる扉の前へ集合する。この扉は、粗末な木材を組み合わせる形で急造されたもののようだ。
しかし扉の外枠へ目を
「この〝
カダンは身振りを交えつつ、エルスらに注意を
「――準備は良いですな? 行きます!」
カダンは手近にあった魔力灯を手にすると、
エルスも右手で剣を抜き、団長の
「よしッ! いよいよ戦闘開始だッ! 気合い入れてくぜェ――ッ!」
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