第7話 委員会が一緒なわけがない

7話


 新学期から数日――



 あれから何度か如月來夢からのがあったが、大和の助けもありなんとかやり過ごしていた。



 しかし……こんなのがあと一年も続くのか……



 僕の華やかしい高校生活は前途多難である。



「はあ……」



 僕は無意識に一人教室でため息をついていた。





「はーい、皆さん席に着いてくださーい」



 教室の扉をガラリと開けてやって来たのは担任の佐藤先生だ。


 相変わらず男子たちからはキラキラと眩しい視線を浴びせられているが、気づいていないのかそれとも無視しているのか……全く気にしている様子はない。



「今日は委員会決めを行いたいと思います」



 委員会か……確かに新学期に入って真っ先に決めないといけないことではあるな。


 しかし、僕は中学から万年図書委員なのだ。


 なので毎年これといって迷うことも無い。


 本を読むことは好きだし、何よりあの空間が落ち着く。


 あまり実行委員会の様な目立つ委員会は避けたいものだ。


 今年も何としても図書委員の座を勝ち取る。



「では最初の委員会から、皆さん挙手してくださいね」







 ――こうして順調に皆入りたい委員会を決めていき、いよいよ次は図書委員だ。


 ここまで見る限り、クラスの半数は既に希望の委員会で確定していっているので図書委員も大丈夫であろう。


 定員は二人


 男子一名、女子一名だ。



「では次図書委員希望の方は手を挙げてください」


 

 僕は静かに一人手を挙げる。

 


「えーと、男子は神崎くん一人ね」



 よし!これで僕の委員会活動は今年一年安泰だ……


 僕は新学期始めのビッグイベントを無事にやり過ごし、一人安堵してい……





 


「女子は如月さんね」






 


 ………………え?

 

 



「じゃあ図書委員は神崎くんと如月さんに決定ね」



 お、おま……嘘だろ……



 何故よりにもよって如月來夢と同じなんだ……



 僕はカクカクとゆっくり後ろの如月來夢を見ると、こちらの視線に気づき、にこにこと手を振ってきた。





 うっわーすげえ満面の笑みだー


 




 僕は初めて図書委員に入ったことを後悔した。


 

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