第103話 憧れなんです、任侠物
そんな事になっているとはまったく知らされていないシャーナ一行。
「さて、今日も美味しいご飯を作るわよー!」
「「おぉ!!」」
気合十分で町に向かうシャーナたち。
「今日のメニューは何にするんです?」
「う~ん、何にしよう?」
「肉! 肉が食いたいです!」
「はいはい、わかりました。それじゃあ今日はステーキにしましょう」
「やったぁ!」
そんな中、街の入口につく頃、なんだかガラの悪い人たちが近寄ってきた。
「おい、お前ら止まれ!」
先頭の男が声をかけると、シャーナたちは立ち止まると、セアラが前に出る。
「えっと、どちら様でしょうか?」
「おい、お前たち、毎日街で好き勝手してるそうじゃねえか。誰の許可を得てそんな事をしてんだ? あーーん?!」
「どちら様かとシャーナ様が尋ねている」
「ああ? 舐めてんのかてめぇ?」
「私は質問をしているだけだ。答えないのなら用はない。通らせてもらうぞ」
そう言ってセアラはシャーナに目配せをする。
「てめぇ、いい度胸だな。ちょっと痛い目に遭わせてやるぜ。来いや!」
男を見ながらシャーナはコクリと頷く。
男たちがシャーナの方に歩き出そうとした瞬間、首筋に剣が添えられた。
一瞬にしてセアラが後ろをとった。
明らかに只者ではないその雰囲気に圧倒される男たち。
するとそこに一人の男が近づいてきた。
「おい、お前ら。下がれ」
「あ、兄貴!」
「うちのが何か粗相をしたようだが? 俺が相手になるが、かまわねえか?」
「ああ、構わないですよ。それであなたが何者か聞いてもいいですか?」
「俺はこの街の裏社会を取り仕切っているデズモオの腹心、ブースだ」
「ブースさん、私たちに何か御用ですか?」
「ああ、あんたらがデズモオさんのシマで好き勝手に暴れてるんでな。ちょっと話し合いに来たんだよ」
「話し合い?」
「そうだ。あんたがたはデズモオさんの許可もなくこの領に入ってきて、俺たちの街で好き勝手な動きを始めた。それがどういう意味かわかっているよな?」
「えっと、よくわからないんですけど……」
「ふざけるんじゃねぇ!! この街で商売したいならまずはデズモオさんの所に挨拶に行くのが決まりだろうが!」
「はあ、そうなんですか?」
「そうだよ! わかったらさっさとデズモオさんの所まで来やがれ!」
「……だってさ、どうする、みんな?」
シャーナが振り返ると、そこにはやる気満々な一行の姿があった。
「ああ、やっぱりこうなるよねえ。まあ、想定内だけど」
「なんだてめぇら? やんのか?」
「いえいえ、私たちは別に争うつもりなんてありませんよ。ただ、デズモオさんのところにって言われてもねえ、何されるかわかんないじゃないですか」
「なんだと?!」
「しかも、用があるのはそっち。こういう時は用がある人が尋ねてくるものですよ?」
シャーナの言葉の意味を理解し、怒り出す男達。
そして、ついに我慢の限界に達したのか、男の一人がナイフを取り出した。
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