第94話 メラメラしてる
夜のミーティングで昼にあった出来事をレオシュ様に話す。
「……って事があったんですよ、レオシュ様。どう思います? ひどくないですか?」
「シャーナ。僕がなんと言って君を送り出したか覚えているかい?」
「ん? 行ってらっしゃい?」
「うん、そうだね。それは最後に言ったね。その前だよ、その前! 決して目立たないようにって言わなかったかい?」
「あーーーーーー。言った言った。言いましたね」
「で? 君は町で目いっぱいの塩鍋を作って住民に振舞ったと? これは目立つんじゃないかね? シャーナ」
やべえ
目がマジだ
言いたいことはあるがここは一旦謝罪だな
私はデキる女だ
「おほほほほ、レオシュ様。申し訳ございません。しかし、人々の飢えた姿をほおっておくわけにはいかなかったのです。うう……」
「シャーナ、ウソ泣きはいいから。で? どうしたいの?」
っち
せっかくデキる女を演出してんのにわからんちんのにぶちんには無駄なのか?
しかたない
「コホン。えーっと、まずこの街の状況が知りたいです。来た時にはとても豊かな街に見えましたが実際のところはどうなのでしょう?」
「そうだね、君たちが見てきた街の様子もこの街の真実なんだと思う。評議会の最高議長が牛耳る町がまさか飢饉のために飢えているとは言えなかったんだろうね」
「そんな……」
私たちが必死で作った料理を食べてもまだ足りなくて、こんなひどいことをしてるなんて許せない。
絶対に許さない
この都市ごと滅ぼしてやる
私の怒りを感じたのかレオシュ様が話を続ける。
あれ?
なんか怒ってない?
なんでこんなに怒りが?
うーん
まあいっか
レオシュ様の話によると、この町の住民は評議会の最高議長であるロート・オルドモンドという男によって支配されているらしい。
もともとはただの商人だったのだが、運良く財を成して権力を手に入れたのだという。
あのおっさん、そんなに悪そうに見えなかったのにな。
やっぱ悪い奴なのか
まあ住民を飢えさせてる時点で真っ黒だけどな
あのおやじ
目にもの見せてくれる!
「シャーナ。メラメラしてるところ申し訳ないんだけどこうなったらこれを続けるしかないからね。一日で止めてしまってはそれこそ何の意味もないよ」
「あったりまえですよ、レオシュ様。こうなったらあのおっさんがギャフンというまでなんだってやってやりますよ!」
「うん、まあ本当にギャフンって言ってる人を見たことはないし、ロート議長のギャフンはあまり見たくないけれどね」
こうしてシャーナは図らずもロートと敵対関係になっていく。
しかし、シャーナはまだ知らなかった。
今現在進行形で起こっていることがどれだけ恐ろしいことかを……
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