第91話 残念そうにシャーナを見る
次の日、シャーナはせっかくだからとお供のみんなとお買い物を楽しんでいる。
レオシュに散々目立たないように言われて少々うんざりしているところである。
「だいたい自分が連れて来といて目立つなとか言われてもですよ、ほんとレオシュ様にはいい加減にしてもらいたいもんだわ」
そんなことを言いながら歩いて市場に向かう。
この街はなんといっても共和国内で流通がトップレベル。飢饉のさなかとはいえこの街にはまだ活気があった、お値段はそれ相応らしいけどね。
市場が近づくにつれなんだかいい匂いが漂い始める。そうなると誰もシャーナを止められない。
「うっほーーーー!」
と叫んで屋台に向かうシャーナである。
「確かに活気がりますね、本当にこの国が飢饉の状態にあるのかと疑いたくなります」
とセアラが言う。
「本当に。まあ最高議長のお力なんでしょうが、さすがに他の地域から見るとこれはないですねえ」
とデレクが答える。
「ま、うちの領もここのこと言えないんですけどねえ」
タミコがそう言うと
「いや、それはシャーナ様がいてくださるおかげでしょう? あんなですけど……」
とデレクが残念そうにシャーナを見る。
シャーナはアンドリューとピエタちゃんと一緒に串焼きを頬張りながらニコニコしている。
そしてその横にはなぜか着ぐるみ姿のラノベさんも一緒になって串焼きを食べている。あの人は一体何をしに来ているのか誰にも分からない。
「おいし〜〜」
と言いながら食べるシャーナは幸せそうである。
それを見つめるアンドリューとピエタちゃんの顔はデレデレだ。
「ふむ……やはりこの領は何かあるかもしれませんね。まあ私たちには関係ない話ですけど」
セアラはそう言って少し微笑みながら辺りを見回した。
すると向こうから大きな荷物を抱えた女性がよろけながら歩いて来る。それを見たアンドリューがすぐに駆け寄って女性を支えようとする、女性はお礼を言いつつ荷物を持ち上げようとするが持ち上がらないようだ。
アンドリューは続けて手伝おうとして女性の荷物を持ちあげようとするが重くて持ち上がらず、セアラが近づき荷物を持つ。セアラが軽々と荷物を持ちあげると、女性は驚いた様子でお礼を慌てて伝える。
そしてシャーナたちが女性の案内のもととある建物に入っていくとそこには一人の男性が待っていた。どうやら女性の旦那さんのようで、奥の部屋へと通される。
そこには先ほどの女性と子供が一人いた。
子供は女の子で5歳くらいだろうか、とても可愛い子だった。
アンドリューたちはその子を見て思わず笑みを浮かべるが、すぐに笑顔を引き締める。
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