第75話 醤油は高級品だった?!

 やっぱり醤油は最高だね!

でもちょっとしょっぱいかな?

もう少し塩分を控えめにした方がいいかもしれない。


「これが醤油です。まだ試作段階ですので、もっと研究して改良していこうと思います。今はまだこの程度しかできませんけどね。もしこの領で醤油を作ることができたら、きっとこの国中に広まります。そうなれば食文化が変わるはずですよ! だって醤油があれば、肉を焼くときにつけるタレとか、魚料理にも使えたりしますからね!」


 私が熱弁すると、皆が目を丸くして私を見つめる。

 あれ?

 なんか変なこと言ったっけ!?

  私が戸惑っていると、レオシュ様がゆっくりと話し始めた。


「君は…… まさか、これを一人で作ったの?」

「え? はい。そうですけど…… あ、もちろんみんなにも手伝ってもらいましたけどね」


 私が答えると、レオシュ様は信じられないものを見るような目つきになる。


 一体どうしたんだろう


「シャーナ、この醤油という調味料はね、とても貴重なものなんだ。特に貴族の間ではとても重宝されるものだよ」

「え? どうしてですか?」


 そんなこと初めて聞いたよ。

 私、作り方教えたよ?

 市場でサラさんに。

 

 まあそりゃあ今から広めようとしてんだもの

 何言ってんだレオシュ様

 と思ってたら


「醤油は高級品だからね。なかなか手に入らないんだよ。それこそ、王族か大貴族の方々ぐらいにしか出回らないと思うよ」

「ええええええええええ!!!!」


 マジで!

 教えちゃったよ!

 しかも大量生産用!

 ど、どうしよう!

 私、とんでもないことやっちゃったんじゃないの!

 ヤバイ!!


「そ、それは、すみませんでした! レオシュ様、申し訳ありません!」


 私は慌てて頭を下げた。

 そして必死になって謝った。

 しかし、レオシュ様からは予想外の言葉が返ってきた。


「いや、いいんだよ。むしろ、これは君のおかげであるとも言えるからね。この調味料を広めてくれてありがとう。この調味料があれば、この領の食生活は大きく変わるだろう。シャーナ、この調味料のレシピを私に売ってくれないか?」

「へ?」


 私は思わず顔を上げてキョトンとしてしまった。


「えっと…… どういうことでしょう?」

「そのままの意味さ。私もシャーナのように新しい特産品を作りたいと思っていたところだったんだ。そこにちょうどよく醤油が出てきたものだからね」

「え? じゃあ、あのお金は……?」

「ああ、あれはお礼さ。君の行動に対してのね。それに、シャーナにはこれからもいろいろ協力してもらえるとありがたいからね」

「協力……ですか?」

「ああ、そうだよ。私はこの醤油というもののレシピを知りたいし、他にもいろいろ知りたいことがあるからね。そのためにはシャーナの協力が必要なんだ」

「そういう事なら、わかりました!私の知っていることは何でもお伝えします!」


 やったー!

 これでお小遣い稼ぎができるぞ!

 私は心の中でガッツポーズをした。

 まあ、レシピに関してはほとんど覚えているから教えることができるんだけどね。

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