第74話 領主の鑑だね
出来上がった生地に水を少しずつ加えながら練っていく。
この作業を何度も繰り返し、最終的に水分量が少なくなってきたところで成形し、発酵させる。
ちなみにこの時の温度は40~50度をキープするのがポイントだ。
その後はまたひたすら放置。
一ヶ月後くらいになれば食べられるようになる。
最後に味見をしてみたけど、うん!
美味しい!!
醤油の方はもっと早くできるはずだ。
今は時間がないので先に味噌だけ完成させた。
そして完成した味噌は小分けにして、それぞれの容器に入れて保管しておく。
醤油の方も同じように瓶詰めした。
とりあえずこれだけあれば大丈夫だろう。
調味料に関してはサラさんに任せることにした。
私には他にもやることがあるので、この場をサラさんに託したのだ。
さあ、次行こう!
私はセアラと共に領主館へと戻った。
屋敷前には執事長のクレートさんが待っていた。
どうやら私達が来るまで待っていてくれていたらしい。
執事長のクレートさんは私の方を見ると、笑顔で語りかけてきた。
「お帰りなさいませ、久しぶりですね。シャーナ」
「はい。ただいま戻りました。レオシュ様にいろいろお話があります!」
「承知しました。レオシュ様もシャーナの帰りを心待ちにしておりましたよ。さあ、まずは汗を流して、皆様で応接室にむかいなさい」
「わかりました!」
こうして私たちは浴室へと向かった。
その後、応接室で私達は向かい合う形で座っている。
まず最初に犬の獣人ユツとムボのことを紹介。彼らの村の現状を話すとレオシュ様は一瞬険しい顔になったけどすぐに対応するって言ってくれたよ。
次にラノベさん。彼はもともと商人なんだけど私についてきている。なぜか着ぐるみで…
レオシュ様もさすがに驚いていたけど受け入れるべきは受け入れる。
領主の鑑だね。
…レオシュ様にここまで起こった各村での状況を報告する。
「シャーナ。本当にありがとう。他に変わったことはなかったかい?」
「はい。あとは… あ、カッビーキラーっていうこれ!手に入れました?」
胸のペンダントを指さしながら説明をする。
「君は… ああ、わかったよ。報告ありがとう… 本当にやってくれるねえ…」
「え? 何か言いました?」
「いや、なんでもないよ。 じゃあみんな、それぞれ部屋を準備させたから夕食までゆっくり休んでくれ。 シャーナ、報告の続きはまたその時に」
「はい、承知しました。あ、その前にレオシュ様、実はこの領に新たな特産品を作ろうと思っています。そのために調味料をいくつか作ってきましたので、こちらをご覧ください」
私はそう言いながら収納袋の中から醤油の入った壺を取り出し、テーブルの上に置いた。そして蓋を開けると、そこから漂う匂いが室内に充満する。
その瞬間、その場の空気が変わった気がした。
私は壺の中に手を突っ込み、スプーンを使って中に入っている醤油をすくった。
そしてそれを口の中に入れる。
うーん!
美味しい!
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