第67話 この村の歓迎

「では、行ってまいります! みなさま、お元気で!!」


 ……は??

 ちょ、ちょっと待ってください!

 マジで行くつもり??

 冗談でしょ??

 本気なのか?

 本気で逝ってしまうのか?

 えぇ……

 いや、ほんとにどうしよう……

 ああ~

 ……もうどうなってもしらないぞぉ……


 こうして、ラノベさんは村へと入っていったのであった。


 うわぁ~!

 人がいっぱいだよぉ~!

 どうする?

 どうなる?


 次回に続く!


 って言ってる場合か!


 ついに村に到着してしまった。私はパニックに陥っていた。

 村に入るとすぐに、村人たちに囲まれた。

 みんな笑顔である。


 こええよ…

 いやいや、あんたらおかしいだろ??

 よく見ろ!

 そこら中に武器持った奴らがいるじゃないか!!

 こっちは丸腰だぞ!!


 しかも、その中心にいるのは母上だ。母は村人たちと楽しげに会話をしていた。


 いやいや、その前にやることがあるでしょうが!!

 まずは私のところに来なさいよ!!


 私は母に呼びかけた。しかし、母はこちらを見ようとしない。それどころか、私の声が聞こえていないようだ。


 なぜだ!?

 どうして無視をする!!


 そうこうしているうちに、ラノベさんは村人たちに囲まれていた。

 そして、そのまま広場の中央まで連れて行かれる。そこで待っていたのは、武装した男たち。彼らはラノベさんを取り囲み、一斉に襲い掛かった。


 やめてあげて!

 お願いだからやめさせて!!!


 私は必死に訴えかけた。

 しかし、やはり声は届かない。


 ラノベさんは抵抗することもなく、ただされるがままにされていた。



 …しばらくして


 男たちは去って行った。


 ラノベさんは無事なのだろうか?


 心配になった私は、ラノベさんに駆け寄った。


 しかし、彼は平然としていた。

 いや、むしろ嬉しそうだ。


 なんということでしょう……


 ラノベさんは着ぐるみを着せられている。それも、全身真っ白なやつだ。

 そして、首から上はなぜか白い仮面をつけている。


 えっと……


 これ、ウサギのコスプレ??

 私は唖然として立ち尽くした。すると、一人の女性が近づいてくる。彼女はラノベさんの目の前で止まった。そして、彼の頭に手を伸ばす。


 まさか……

 ラノベさんに!?

 止めないと!


 私がラノベさんに声をかけようとすると、ラノベさんが大声で言った。


「大丈夫です。任せてください」


 ラノベさんは笑っている。私は仕方なく引き下がった。女性はラノベさんに手を伸ばし続けている。ラノベさんはじっとしていた。すると、女性は彼の頭を撫で始めた。

 優しく、愛おしむように。まるで、我が子を慈しんでいるかのように。


 私は知っている。

 これはなのだ。これがこの村の歓迎なんだと。

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