第63話 ここはあれだな

 だめだよ! アンドリュー!!


 ラノベさんは何も悪いことをしていないのに攻撃するのは良くないと思うよ!

 私が必死に訴えかけると、アンドリューはすぐに大人しくなってくれた。


 良かった〜

 それにしても一体どうしたんだろう?

 急に飛び立って……

 あっ、もしかして……

 私がラノベさんの言葉の意味がわからなかったせいで怒っているのかも……


 だとしたら申し訳ないことをしてしまった。後で謝らないとね。

 私はセアラに目配せをして、通訳を頼んでみた。

 セアラは少し困ったような顔をしていたけど、私の意図を理解してくれたようだ。


 ありがとう!

 助かるよ!


 セアラはアンドリューの方を向いて、優しく語りかけた。

 その様子はまるでお母さんのように慈愛に満ちた優しい眼差しだった。

 そして、ゆっくりと言葉を紡ぐ。

 アンドリューが安心するように、優しく、丁寧に、はっきりと、一言ずつ丁寧に伝えていく。

 アンドリューは静かに聞いていた。

 そして、しばらくして納得したように首を縦に振っていた。

 どうやら分かってもらえたみたいでよかった。


 これで一安心……

 と思ったんだけど……

 えっ?

 なんでこっち見るの?

 そして、なぜかニヤッとしてるよ。


 なんか嫌な予感……

 すると、アンドリューは私の頭の上に乗ってきた。

 えぇーー!?

 どうしてそうなったの!

 まあいいか。


 とりあえず、話はまとまったみたいなので良しとするか。

 アンドリューが乗ってきてちょっと重いが、我慢しよう。

 それよりも、話を先に進めよう。

 私はラノベさんに話しかけた。

 まずは、私たちと一緒に来ることについて聞いてみることにした。

 ラノベさんは、しばらく考え込んでいた。


 自分で言っといてどうしようか悩んでいるのだろうか?

 わけがわからん


 やがて、決心がついたようでこちらを見つめてきた。


 うっ……

 やっぱり綺麗な瞳をしているね。

 吸い込まれそうだよ。


 って見惚れている場合ではない!


 ちゃんと答えてもらわないとね。


 よし、気合いを入れていこう!

 頑張れ私!

 私は、ラノベさんの返事を待った。

 すると、彼は驚くべき発言をしてきた。


「私は決めたのです! シャーナ様の崇高な目的を達成するためにお仕えすると!」


 ……はい?

 えっと……

 どういうこと?

 私には理解できなかった。

 いや、だって意味わかんないじゃん!

 突然現れて、いきなりそんな事言われてもね。


 ってか崇高?

 そんなこと思ってないけど?

 でも、まあ手伝ってくれるっていうならありがたい。

 ここはあれだな

 大人の対応だな


「もし可能であれば、ぜひお願いしたいです!」


 私はラノベさんに頭を下げた。

 セアラも焦ったように頭を下げる。

 アンドリューはというと、何も言わずにただじっとしていた。


「「これからよろしくお願いします!」」


 ラノベさんが仲間になった!

 こうして、新たな旅の仲間が増えたのであった。

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