第60話 依頼達成

「ああ、本当だよ。 それで、君たちこそここで何をしていたんだ? ここは、危険だから近づかない方がいいよ」


「実は、私たちは依頼を受けて来たんです。オークを倒しに来ました」


「そうか。なら、俺が手伝ってあげようか? 俺は、腕には自信があるんだよ!」


「いえ、結構です。 私たちは、自分たちの力で倒します。 あなたは、安全なところへ行ってください!」


「そうか、わかった。 じゃあ、頑張れよ!」


 そう言って、彼は去っていった。


「あの人、悪い人… においが悪い人!」


 とそれまで静かだったムボさんが話し始めた。


「匂いってどういうこと?」


「えっと、あの人からは変な臭いがしたの……。だから、あの人は嫌……」


「そっかぁ……」


 確かにあの人からは、嫌な感じを受けた。


「ユツさんはどう思いますか?」


「私も同意見です。 なので、もし戦うことになったら注意してください」


 私達は、オークを探し始める。するとすぐに見つけることができた。どうやら、5体ともこちらに向かってきているようだ。ユツさんを見ると、震えていた。やはり怖いようだ。


「ユツさんは下がっていて下さい。 私が、囮になりますから!」


 そういうと、ユツさんは首を横に振った。


「いいえ!私も戦います!」


「大丈夫ですか? 無理はしないほうがいいですよ」


「はい。大丈夫です! 私だって戦えるんです!」


「わかりました。一緒に戦いましょう! まずは、私が囮になります! そして、セアラが攻撃します! いいですね?」


「はい!お願いいたします」


 作戦が決まったので、オークに向かって走り出す。オークが近づいてくる。すると、セアラが


「はあー!!」


 と叫びながら、剣を振り下ろす。すると、オークの首が切り落とされた。残りの4体は、驚いたのか立ち止まっている。そこに、ユツさんの魔法が飛んでいく。炎の球だ。しかし、うまく当たらない。

 どうやら、コントロールが難しいようだ


「きゃっ!」


 どうやら、魔力を使いすぎたようだ。ユツさんは、倒れそうになる。私は、慌ててユツさんを支える。ユツさんは、私の胸の中で泣いている。


「うぅ〜怖かったよぉ〜」


「もう大丈夫ですよ」


「うん!ありがとう!」


 落ち着いたところで、残り3体のオークに目を向ける。1体が逃げようとしている。逃がさないようにしないと……

 そう思った時だった。突然、風が吹き荒れた。そして、オークの足下に大きな穴ができた。どうやら、アンドリューが風の魔法を使ったらしい。すごい威力だ。

 その隙に2体を倒せたみたいだ。残る一体は、腰を抜かしている。セアラはチャンスだと一気に近づく。そして、剣を振る。オークは死んだ。これで、依頼達成だろう。

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