第59話 なぜ、魔物に?
この村は、他の場所よりも魔物の出現率が高いらしく、定期的に討伐を行っているらしい。今回も、その依頼だということだ。飢饉になり食べるものがなくなって魔物もどんどん人族の領域に侵食してきている。
今回目撃されたオークの数は5体で、それほど強い魔物ではないようだ。
しかし、数が多いため注意が必要とのこと。私とセアラは、オークを倒すことにした。
まずは、作戦会議だ。
私が囮になる
セアラが攻撃するという作戦で決まった。
いいのかそれで
それでは早速出発だ!
私たちは、森に向かって歩き出す。しばらく歩くと、前方に人影が見える。近づくにつれて、はっきりと見えてきた。それは、人ではなく獣人だった。どうやら戦闘中のようで、オークと戦っている。
「助けて!!」
という声を聞き終わる前にセアラが走り出した。勢いそのままに剣を振り下ろす。
すると、見事にオークの首を切り落とすことができた。突然の出来事に、獣人は驚いているようだ。セアラは、振り返りながら言う。
「大丈夫ですか?」
「あ、ありがとうございます」
セアラは、改めて相手の姿を確認する。見た目は人間だが、頭に耳がついている。
尻尾もあるみたいだ。
「私は、ユツといいます」
「私は、ムボと言います」
ユツと名乗った彼女は、犬のような顔をしている。
そして、茶色の髪をしている。
「ユツさんは、どうしてこんなところに?」
「実は、薬草を取りに来たんです。 そうしたら、いきなり襲われて…… 本当にありがとうございました!」
ユツさんは、何度もお礼を言う。
「気にしないでください。 それより、早く逃げましょう! まだ、近くに魔物がいるかもしれませんから!」
「はい!」
私達は、急いでその場から離れる。どうやら、追ってきてはいないようだ。
少し離れたところまできたので、一息つく。
「ふぅ〜」
「なんとか、なりましたね」
「そうですね。 それにしても、なんで急に襲われたんでしょうね?」
「わかりません。 でも、油断は禁物です。 気をつけていきましょう」
「そうですね。 ところで、さっきの戦闘ですけど、すごい早かったですよね? なにか、特殊な技とか使っているんですか?」
「いえ、特別なことはしてないですよ。 ただ、身体強化をしているだけです。 あとは、剣の扱い方を覚え、日々鍛錬を行っているだけですよ」
「そうなんですか?! やっぱり、日々の鍛錬なんですね〜 とっても強くて羨ましいです!」
そんな話をしていた時だった。ガサガサという音が聞こえてくる。また、魔物が現れたのかと思ったが、違うみたいだ。
私達の前に、一人の男性が現れる。年齢は20代前半だろうか。細身の男性だ。その男性は、私達を見て話しかけてくる。私は、警戒しながら答える。ユツさんは、私たちの後ろに隠れている。
私は、話を聞くことにする。男性は、自分は商人でたまたま通りかかっただけだと言った。私は気になったことを質問する。
「なぜ、魔物に襲われていたのですか?」
すると、男性は答えてくれた。
「荷物を運ぶために雇った護衛が魔物に殺されたんだ。その魔物たちは馬車を襲ってきた。逃げるしかなかったんだ」
私は、大変でしたねと言っておく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます