第57話 偉いぞ!

 アンドリューとピアラも食べたくて仕方がないみたいだ。

 でも、もう少し我慢してもらおう。

 私達(デレクがだけど)は料理中なのだから。


 ジュウウ!!

 肉の焼ける音が鳴る!

 いい感じだ。

 

 アンドリューたち三人がヨダレを流しながら待っている。


 もうすぐ完成よ!


 デレクは焼き加減を確認する。


 うん、完璧そうだ!

 ステーキの出来上がり!

 

 後はソースをかけるだけね。

 

 さっき作った特製トマトソースをかけよう!

 ジュワアア!!!

 ミートソースの完成!

 

 ふぅ、やっと終わったぞ。

 よし、みんなを呼ぼう!

 セアラが呼びに行ってくれている。

 するとすぐに、台所に村の人たちが集まってきた。

 村人たちは、私のことを見ている。何かあったのかな?

 

 あっ!

 私たち(デレク)が料理を作ってるところを見てたのか

 そりゃあびっくりするか……。


 村長さんが話しかけてきた。

 どうやら、私たちのことを紹介してほしいらしい。

 私は村長さんの頼みを聞くことにする。


 え?

 なにも聞いてない?

 だって今言ったもん!

 

 それに、みんなの前で自己紹介したほうが後々楽になると思うんだよね。

 だから、私はみんなの前で自己紹介することに決めたのだ。

 まずは、アンドリューからね。

 アンドリューは、私の後ろに隠れてしまった。

 恥ずかしがり屋なんだね。


 可愛いじゃないか!


 次に、ピアラを紹介する。

 ピアラは、小さな声でよろしくお願いしますと言った。

 次に、セアラを紹介しようとした時、村長さんが話し始めた。

 村長の話によると、村長の娘だったのか? ということだった。

 うーん、確かにそう見えなくもないが……

 違うような気がする。

 とりあえず、否定しておくことにした。

 村長は、そうですかと言って納得してくれたようだ。


「それでは皆さん、ご挨拶をしましょう!」


 村人たちの顔を見渡す。


「はい!」


 みんなの返事を聞いて、私は笑顔になった。


「こんにちは! 私の名前は、シャーナです。 領主さまのお手伝いをしています。 この度は、私たちのために宴を開いてくださってありがとうございます。 これから、しばらくの間お世話になりますのでどうかよろしくお願いいたします」


「おお!!」


 パチパチ!! 拍手が起こる。


「セアラとタミコも挨拶をしてね」


「承知しました」


「はい!」


 セアラは、緊張した様子で前に出る。

 

 あれ?

 ピアラちゃんが、セアラの後ろに隠れてしまっている。

 セアラがピアラちゃんを引っ張り出して、前に立たせた。

 ピアラちゃんは、顔を真っ赤にして俯いている。

 セアラは、そんなピアラちゃんを見て笑っている。

 そして、二人は一緒にお辞儀をした。


 パチパチ!!

 

 再び、大きな拍手が起こった。

 

 セアラとタミコたちは村人たちと話をしている。

 ピアラちゃんも人見知りだけど、頑張って話しをしている。


 偉いぞ!


 しばらくすると、アンドリューとピアラちゃんは疲れてしまったようで眠ってしまった。お腹いっぱい食べていたからね。仕方ない。私は二人をおんぶして部屋まで連れていく。セアラも手伝ってくれた。アンドリューたちをベッドに寝かせてから、私は椅子に座って一息つく。


「ふぅ〜」


 なんか今日一日で色々とありすぎて、頭が追いつかない。

 少し休憩しようかな。

 そう思って目を瞑った瞬間に意識を失った…………

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