第51話 感情が入り乱れてる

 ちょっ、待て待て待て!

 アンドリューは食べ物じゃないよ!!


 私は慌てて走り出そうとしたが、その前にタミコが立ちふさがってきた。


 おい、邪魔するな!

 アンドリューを助けなきゃ!!


 私は彼女の肩に手をかけてどけようとしたが、彼女は頑として動かなかった。

 その間にもアンドリューが食べられちゃう……


 私は焦りながら、なんとかしてアンドリューを助ける方法を考えていた。だが、何も思いつかないうちに、アンドリューが飲み込まれそうになった。

 その時


 ブモオオオッーーーー!!


 とてつもない雄叫びと共に、どこからともなく、茶色の大きな牛が走って来て、アンドリューを口にくわえると、そのまますごい勢いで駆け出していった。


 助かったの?


 私は呆然としながらその様子を見ていた。

 すると、しばらくして、セアラが私に声をかけてきた。


「シャーナ様、ご無事でよかったです! 本当にびっくりしました。 しかし、あの生物は何だったのでしょう? とにかく、無事に帰ってこれて良かった」


 ああ、そうだね

 さすがに驚いたよ


 ってアンドリュー!!!!

 連れていかれちゃったじゃん!!!!


まずいよ、絶対まずいよ!!

早く助けなきゃ!!


私はアンドリューを追いかけようと立ち上がった。

ところが、それをセアラが引き止めた。


「ちょっと待ってください」


どうして止めるんだ?


私はセアラの手を振り払おうとした。

セアラの力が強くて振り払うことができない。

セアラは落ち着いた口調で言った。

「シャーナ様、落ち着いてください。 アンドリューもきっと大丈夫ですよ。 だって、アンドリューは強いんですから」


「でも、もしアンドリューが殺されでもしたら……」


私は不安で泣きそうになりながらも、必死に我慢した。

そんな私の様子を見たセアラが口を開いた。


「シャーナ様、アンドリューはそんなに簡単には死にません。 それに、アンドリューが負けるような相手なら、私たちでは太刀打ちできません。 だから、今は待ちましょう。 ねっ?」


そう言ってセアラは微笑んでくれた。


そっか……

確かにそうだよね……


私は落ち着きを取り戻して、再び腰をおろすと、セアラと一緒にアンドリューの帰りを待つことにしたのであった。



しばらく待っていると、遠くの方から地響きがしてくる。

明らかに大きくなる地響き。やがてその音はどんどん近づいてきて、ついにはこちらに向かってくるのがわかった。


一体何事だ?!


私は驚いていると、牛の背に乗ったアンドリューが口に何かをくわえたまま戻ってきた。


よく見ると、それはキノコだった。

私は驚きのあまり言葉を失った。

アンドリューは口にくわえていたキノコを地面に下ろすと、満足げな表情を浮かべている。


「リーーーーーーーーフ!」


いやあんた…

このキノコを取りに行ってくれてたの?

いやいや

ありがとうだけども!

アンドリュー!!


いろんな感情が入り乱れてるけど…

私はアンドリューを抱きしめた。

すると、アンドリューは嬉しそうな顔をして私の顔を見つめてくる。

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