第49話 なんてこったい…
私は満足しながら立ち上がった。
「聖女様、いかがでございましたでしょうか?」
村長が聞いてきた。
「うん! 面白いよ! こんなに楽しい本は久しぶりだった」
「そうですか、それは良かったです」
「ねえ、他にも色々と見せて欲しいんだけど……」
「はい、もちろんでございます」
私は教会にあったたくさんの本を読み漁ったのであった。
はぁはぁ……
ちょっと休もう……
私は椅子に座って一息ついた。
「聖女様、お茶をお持ちしました。どうぞ」
「ありがとう。 ん? これは?」
私はカップに入っている液体を見て聞いた。
緑色のお茶?
うーん、こんな飲み物があるんだねえ
ちょっと苦いけど、美味しいかも
「はい、この村では昔から薬草を煎じたものを飲用としておりまして、その余りをお茶として飲んでいるのです」
「え? それって大丈夫なの?」
私は不安になってきてしまった。
体に悪いんじゃないだろうか?
「いえ、毒などは入っておりませんよ。 まあ、慣れれば美味しいものでございます。 それに病気の時に飲むと、体が楽になるような気がします」
おじいちゃんはニコニコしている。
そういうものなのかな?
まあいっか
私も少しだけ貰おうっと
――――――
翌日から、私たちは村の人達の手伝いをする事になった。
といっても、何をすればいいのかよくわからなかったのだが、とにかく言われた事をやっていれば良いみたいだったので、とりあえず畑仕事を手伝ったりしていた。
うーん、力仕事をさせられると思っていたけど、思ったより大変ではないなあ。
まあ、体力的には全然余裕なんですけどね。
なにより働くとお腹がすく!
お腹がすいたらご飯がおいしい!
今日は何を作るんだい?
デレクさんや!!
「はい、今日はシチューを作ります。 皆さんの分はたっぷりありますから、安心してください」
おお!
そりゃ楽しみだ!
私はウキウキで野菜を洗ったり、切ったりしていった。
ふむふむ、なかなかいい!
だが待て!
せっかくこの地域の特産、私は聞き逃していない!
キノコ類って言ってたよ!
キノコだよ、キノコ!!
採りに行かなきゃだよ、デレク!!
アンドリューも食べたいって!
ピエタちゃんも食べたいって!
みんな食べたがっている!!
だから行こう!!
私はデレクにお願いした。
すると彼は、困った顔をして言った。
「うーん、確かにキノコはあるんですよ。 でも、あまりたくさん生えていないので、取り尽くしてしまうと、来年取れなくなってしまうかもしれないのですよ」
なななななななんだってええええええ?!
なんてこったい……
私は絶望に打ちひしがれていた。
すると、デレクが声をかけてきた。
「シャーナ様、そんなに落ち込まないでください。 他の食材でも十分美味しい料理が出来ますよ」
そ、そうだよね!
うんうん、そうに違いない!
私は元気を取り戻して、食事の準備を続けたのであった。
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