1章

第41話 これが母性ってやつじゃ?

 ラン ランララランランラン♪


 幌馬車は進む~~♪


「シャーナ様、それなんです? あ、すみません」


 人が気持ちよく歌ってるんだから黙っといてくれる?


「ん? デレク、気にすることはないわ。これは私が子供の頃に作った歌なの。いいでしょ?」


「はぁ、まあ、はい。そうすね」


「それより、これからのことを話したいんだけどいいかしら?」


「はい! はい! はい! もちろんです!」


 ん?


 なんか元気だな、デレク

 そんなに嬉しかったのか?

 まあいいか


「まず、私たちはこのまま領内を西に行こうと思っているの。西の村クエザに向かうわ。そこで情報を集めて飢饉の対応を考えましょう」


「わかりました。ところで、シャーナ様、マジックバッグの容量は足りているのですか?」


「ええ、大丈夫だと思うけど。タミコ、どう思う?」

 タミコが中を覗いて確認してくれる。


「はい、問題ありません。この大きさのマジックバッグであれば幌馬車2台分は入ると思われます」


 「さすが領主家代々のマジックバッグね。小汚いとか薄汚れたとか言っちゃって申し訳なかったわ」


 そう、このマジックバッグ、すさまじい性能だった。


 荷物収納容量は幌馬車約3台分で重さは感じない、時間経過なしな上、入れるとリスト化されて表示される機能まで。


 どうなってんだ?

 魔法テクノロジー?


 ほんと、だから昔の本はやめられないのよね

 こんな技術がなぜ衰退しなくなってしまったのか、本当に興味が尽きないわあ


 こんな便利アイテムがあったらもっと世の中発展してもおかしくないと思わない?  


 なのに、どうしてこうも停滞しているのだろうか?


 謎すぎる


 いかん

 現実逃避をしてしまった。


 とにかく、マジックバッグのおかげで調理器具なんかも余裕を持って積むことができた。


 これなら予定よりも早く目的地につけるかもしれない。


 さあ、行くぞ!

 いざ行かん!

 クエザの村に!!


 私の心のワクワクが止まらないぜぇ!!!


 レオシュ様の領地を出て1日、予定通りに行程を進めていた。

 途中、休憩中に御者をセアラとタミコに交代してもらった。

 まあ私はずっと本を読んでいたんだけどね


 最高だぜ

 この時間!!

 そう思っていた時間もありました。


 アンドリューとピエタちゃんは仲良く遊んだり歌ったり踊ったりとにかく落ち着かない!!


 うるせえよ!

 読めねえよ!


 烈火のごとく叱ったら

 寝てるよ


 よく寝てるよ二人とも

 かわいいなあ


 っは!!


 母じゃない?


 これ母性ってやつじゃない???


 そうかあ、これかあ!!

 やっとわかったぜ

 母性!!


 そんなことを思ってると


「シャーナ様、お腹すいたんですか? よだれをたらしそうな顔して。さすがにアンドリューとピエタちゃんは食べてはいけませんよ」


 おいデレク!


 なんてことを言うんだ


 母性だよ!

 ぼ・せ・いっ!

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