第34話 セアラ、見て!

 おっでかけ~

 おっでかけ~♪


 おっでかけっけっとスキップしてたら、セアラに捕まった。


 ええー

 これからどこかに行く予定だったのにぃ


 やだよぉ


 「シャーナ様。まだシャーナ様にお会いしていない者がおります」


 はて?


 誰だろう?

 わからん

 まあ会うだけ会おうか?



 案内されたのは私の部屋の隣の部屋だった。


 ん?

 んんんんん??

 隣???


 セアラがノックすると中で ガタっ! ガタゴトっ!! と音がしたあと静寂が…


 「入りますよ! タミコ!! こら! いるのはわかっていますよ! 開けなさい!!」


 そういうと一気に扉を開く。


「タミコ!! いい加減にしなさい!! シャーナ様もお見えなのですよ!」


「ぇ?! ぁ 、ぁぁぁ! シャー……! ど、どうして!?」


 中から出てきたのはメイド服の女性。


 見た目は私と同じくらいの年齢かな?

 しかし背は低いのに育つところは爆で育ってんな、このやろう


 悔しくはない


 一応もう一度言っておくが

 

 悔しくはない


 お約束なんだろ、こういうの


 くそう


 ってかさあ、なんでメイドが引きこもってんの?

 んで、声ちっちゃ!


「え? あ、声ちっちゃいなあ!?」


「ぁ、はぃ、申し訳ござぃません。私はタミコと申します。ぉ屋敷で働かせてぃただいてぉります者です」


「あ、そうなんですね! よろしくお願いします!」


「はぃ、それで、あの、ぁりがとうございます。その、私のような者にまでぉ声をかけてくださり、その上、こんな立派なぉ部屋を用意してくださぃまして」


「あ、いえ。レオシュ様が決めたことですから気にしないでください。それより、あなたは何をしているんですか?」


「ぁぁ! はぃ、申し訳ぁりません」


「あ、いや、別に怒ってるわけじゃないんだけどね、どうして部屋に引きこもっているのか気になって」


「ぇっと、それは、その、恥ずかしくて、その、人前に出れなくて、その、すみません、ごめんなさい!」


 なんか謝られてるけど

 ごめんなさいだけ声がでかい! 


 え?

 人前がはずかしい???


 なんで??


 う~ん、わかんない

 でも、このままだとどうにもならないよね


 とりあえず連れ出してみる?


 セアラを見ると、任せてという顔をしている。

 どうやら何か考えがあるようだ。


 しばらくセアラがとタミコが無言でにらみ合う。


「……」


「わかりました。では、今から私たちと一緒に食堂に行きましょう」


 セアラが言う。


「え? え? そ、それって、私が行ってもいいということですか? 」


「もちろんです。シャーナ様の身の回りのお世話をするのがあなたの役目でしょう。 そして、今から食道に行くと」


「いえ、でも、私なんかがシャーナ様に引っ付いていると、あの、ご迷惑では?」


 グズグズ言ってんなあ


 まあ別に私がつけてくれって言ったわけでもないし嫌ならそれでいいんだけど

 なんだかタミコは自分に自信がないみたいだなあ


 なんて思ってると



「お菓子が出てきます!」


 というセアラの発言で



 ピクッ!! 



 お?


 いまタミコの耳が動いたような

 気のせいか?

 

 いやいや

 セアラ、見て!


 タミコの耳が!!


「いま、なんと??」


 タミコの目つきが変わった


「今から食堂に行くと、シャーナ様と共にお菓子が食べられま――」


「行きます!!」


 行くのかよ!!

 くいしんぼう万歳だな


 ま、私もお菓子を食べたいし食堂に行ってお菓子でも食べながら話すのもいいよね

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