第32話 授けましょう!
あーよく寝た。久しぶりに休んだね、こりゃ。
毎晩よく眠ってはいるけれど。
ま、それはさておき小腹がすいたね。こんな時には厨房に行ってなんかつまもう、そうしよう!
厨房に近づくとなんだか大声が聞こえてくる。
「だからこいつはナスなんだよ! てめえ、オレの言うことが聞けねえのか?」
「シェフ、私はあなたのことを尊敬しています。それは揺るぎません、しかし今回は私の意見が正しいと言わざるをえません。これはキュウリの一種です。譲れませんね」
何やってんだ?
「どしたの? セアラ」
カーゴさんとデレクのやり取りをどうしていいのか困っているセアラに尋ねる。
「シャーナ様。あの新しく採れた野菜があーだこーだとやりあっておりまして…」
ほうほう
こんな時こそ野菜全集でしょうよ
私の出番か?
よし、任せとけ
「ケンカをやめて~ 私のために争わないで〜」
「「なんだそりゃ?」」
一発かよ
「コホン。何を大声でやり合ってんの? どの野菜よ? なんだこれ?」
二人が一斉に出してきた野菜はキュウリをでっかくした深い緑と黄色の野菜。
なんじゃこれ?
「シャーナ様。今キュウリのでっかいのって思いましたよね?」
デレク、いつの間にエスパー能力をみにつけたんだ?
思ったよ、思ったけれどもね
「っふ、お前らはまだ若いな。見た目に騙されるのは二十代までよ」
カーゴさん、何の話してんの?
そんなことを思っているとセアラが
「シャーナ様、全集で確認を」
やるな、セアラ
「えーっと、この野菜は、お? ほー! これはズッキニーって野菜で、パンプキの仲間だってさ」
「「ええ?!」」
二人とも驚きの声をあげる。
「お嬢、さすがにそれはないわ。焼いたら完全にナスビーだぞ」
「師匠、ずるいですよ。私は完全に見た目勝負だったのにすでに焼いて試しているとか」
デレクがカーゴさんを冷たく見つめる。
「ガハハ。わりいわりい。だがな、さっきも言ったが見た目じゃねえのよ、野菜はよ」
あ、カーゴさんごまかしたな
「まあそんなことだろうと思ってましたけど。で、師匠。味はどうだったんです?」
「食感はナスビーだなあ、味はまあ淡白だから何にでも使えそうだな」
さすがシェフ。全集にも、ナスのような食感で油炒めや揚げ物、煮物などに使用される。って書いてあると伝える。
カーゴさん嬉しそうにウンウン頷いてる。
おっちゃんかわええな
もう試食してるんだし、小腹がすいたのでなんか作ってと頼んだら速攻で全集のレシピを教えろと二人に言われた。
ひどい
ま、美味しいものを食べるってのは正義か
なら全集からレシピを授けましょう!
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