第31話 大人の会話もたまにはある

 レオシュ様は領主の仕事で忙しそうだもんな


 さて、朝ごはんも食べたしそろそろ部屋に戻るかな。

 そう思っているとアンドリューがフワフワと飛んでいく。


 お、アンドリューがレオシュ様の前に?

 何か話があるみたいだ。


 ん?

 アンドリューが頭を下げてる?

 どうしたんだ?

 レオシュ様も驚いている様子だ。



 ふむふむ ほうほう なるほど そういう


 え?


 レオシュ様、アンドリューと話せるの?

 なんで?


 リフリフ言ってるだけじゃんね?

 んー、どういうことだろ?

 わからん


 するとレオシュ様が


「フォレストコッコの小屋を館の裏の森の入り口付近に建設する。公共事業として交付し領民には賃金と食事を提供するものとする」


 お? おお?

 なんか決まったっぽい

 良かったね!

 これでもうフォレストコッコの心配はないわけだ!


 レオシュ様は領主の執務室に戻り仕事を再開すると出ていき、クレートさんは、まだアンドリューと話をしてる。アンドリューは私の方を見て リフリフ言っている。

 まあ、アンドリューが何を言いたいのかよくわかんないんだけどね。

 しばらく話をしてアンドリューはクレートさんの元を離れ私の肩に戻ってくる。


「リーフ リフリフ リー」


うん、さっきから言ってるけどわかんないからね


クレートさんが一礼して出ていく。

さてと、部屋に戻ろっかアンドリュー。




執務室にて


「レオシュ様、よろしかったので?」


「ああ、クレート。 まさか本当にこんなことになるとはね。 代々伝わった伝承がこんな形で現実になるなんてね」


「本当に。代々のご領主様方もさぞお喜びでしょう」


「うん。だからこそ今の段階でシャーナの存在を他領に知られるわけにはいかないね。ここからの動きは慎重に考えないといけない。少なくとも次の共和国評議会までは」


「はい。当面はシャーナの存在を隠しつつ飢饉状態を脱し、他領との交易量を増やしていくべきかと」


「うん。その線で進めてくれるかな? クレート」


「承知いたしました」


クレートが一礼する。


「ああ、シャーナについては基本好きに動いてもらおうか。ただしくれぐれも他領に存在を知られないようにね。危険が及ばないようくれぐれも頼むよ」


「もちろんでございます。レオシュ様はやはりお優しいてすな」


「優しい、か。まあ少なくともあの子を害するつもりはないけど。伝承どおりだとすると、まだまだいろんなことが起こりそうだからね。楽しみで仕方ないよ」


 執務室では大人な会話がすすめられている。




 さて、その頃シャーナは


 ん〜

 ダメだよお

 アンドリュー〜

 そんなことしちゃあ〜

 もう〜

 ダメ〜

 それは

 それだけは〜

 

 もう

 もう食べられない〜

 

 ぐへへー


 ヨダレを垂らしながら眠りこけていた。

 朝ごはんの後の午睡である。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る