第20話 真顔になったなレオシュ様

 もう一度作り方を二人に伝える。


 はあ~


「さあ! 言った手順通りにやってくださいね。」


 私はそう二人に伝える。


「なんだこのガリック!! めちゃくちゃうまそうな匂いがするじゃねえか!!」


「はい。ほんとうに。これは食欲をそそりますね」


 わいわいやってるのでまあ良しとしよう。


 そして

 ついに完成!!


 テッテレ~


 ボア肉とパンプキのトマト煮~


「なんだその妙な音楽は?」


「だめですよ、本人は楽しくやってるんですから」


 お前らいい加減にしろよ

 さて、気を取り直して味見ターイム!!



「ああああああ!!! おーいーしーーーーーーい!!」


「リフ! リリリーフ!」


「これは。うますぎる!!」


「おいしいです!!」


 うん、完璧だ。


 パンプキの甘さ、ガリックの辛味、ボア肉の旨味、トマトの酸味。

 全てが渾然一体となって口の中に広がってくる。

 

 パンプキスープとはまた違う味わい深い料理になっている。


 これならレオシュ様もきっと喜んでくれるはず!


 さあしもべたちよ!!


(いつからしもべに…)


 出来た料理をレオシュ様に食べてもらうのだ!!



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「美味しい! なんですかこれは! こんな美味しいものを食べたことがありません!! しかも領民のために用意してくれたというではありませんか」


 ああ、本当においしかった。


 レオシュ様、喜んでいただけてよかった。

 あ、なんか泣いてる

 

 執事のクレートさんも泣いてる

 うれし涙かな?


 パンプキソテー・パンプキスープ・ボア肉とパンプキのトマト煮

 どれもこれも大変好評だった。

 

 特にボア肉とパンプキのトマト煮は絶品だったようだ。


 良かった。


 そして今、食後のお茶を飲んでいる。


 私とレオシュ様と、執事のクレートさん。あとメイドさんとシェフのカーゴさんとデレクさん。


 みんなでゆったりと過ごしている。

 レオシュ様は少し顔色がよくなったような気がする。


 やっぱり自分だけ色々食べるとかできないんだろうなあ、この方は


 あ、そうだ、ちょっと聞いてみよう。

 ずっと気になっていたことを聞いてみる。


「あのお、レオシュ様。パンプキはどうでしょう? これで飢饉は何とかなるんでしょうか?」


「ああ、シャーナ。ありがとう。本当にありがとう。これでこの領の、いやこの国は飢饉から救われるよ!」


「いえ、それはまだまだ先になります。まだ作付けも終わっていないのです。手放しで喜んでいることもできません」


 クレートさんはとっても慎重派


「それでもだよ! それにしても、なぜこのような事になったの?」


「えーとですね。それは私も知りたいくらいですねえ。アンドリューの力だってことは間違いないんですが、それでもなんでこんなことになったのか」


「ああ、そのことなんだけどね」


 急に真顔になったな、レオシュ様


「あ、はい」


「明日にでも執務室に来てくれ。その件で話があるんだ。それはそれとして、明日からも料理を頼むよ、シャーナ」


 ゲロッパ!

 不意打ちかよ!


 そんな話で、今夜はお開きとなった。

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