第13話 謎の一つではあるけれど
「なんだって! すごい事じゃないか! この領を救うためにあるような野菜だなあ」
デルクさんが感動している。
「ほんと、こりゃすごい」
と、答える。
だがしかし!
そんなことは今はいい!
問題は味だ!
「落ち着いて、デレクさん。まだ他にも見たことない野菜があるでしょう?」
「あ、ああ、ごめん。これでこの領が救われると思うとね。なんともね」
泣き始めたよ。
もう、いい加減にしろよ?
「まあいいけど。ちゃっちゃと出してくれます?」
「なんかシャーナ様、俺の扱いがひどくなってきてない?」
「知らない、私はパンプキを食べた、いや、早く食糧事情の改善のために働きたいんですよ!」
「今食べたいって」
「うるさい! 改善のために働くの!」
「う、うん。わかったよ。じゃあ野菜を出すね」
そう言ってデレクさんはこれまでには視たことのない野菜を出してくれた。
まずはオニオー。これもたくさんあった。丸くて白くてかわいいんだけど、かじるとものすごい辛みだったんだって。
そしてキャロッテ。これはオレンジ色の野菜。これは土の中にできる野菜でこのままでは硬くて食べられなかったらしい。
まあ今日の所はこのくらいにしておこうということになった。
さて!
パンプキのお料理だ!!
野菜全集によると、まずはこいつに包丁を入れるところからスタートだな!
硬い、硬すぎる!!
どうなってんだこいつ!!
全く包丁が入らないじゃないか!
ハァ、ハァ
デレクさんの目がかわいそうなものを見る目になってるじゃないか
「ちょっと、変わってくれない?」
グッとデレクさんを睨みつける。
断れないだろ? ほれ! やってみるがいい!!
「野菜全集には処理の仕方書いてないのかな?」
っふ、そんなものがあるなら、って、載ってた。
くそう、仕方ない、読んでやるか。
① パンプキの底の中心部分から45度の角度で包丁を入れる
② 反対側も同じように切る
③ 簡単にパンプキが切れる
バカにしてんのか!
こんなもんわかるわけないだろ!
と、デレクさんをチラッと見ると
「なんで切れてんのよ!」
「いやシャーナ様がキレてんでしょうよ」
「何うまいこと言ってんのよ! なんで?」
「いや、なんでって、言われたとおりに切っただけですよ?」
「っち! これだからさわやかイケメンてやつは。本に書いてあった通りだわ」
「え?」
「なんでもないわよ! 切れたパンプキは中身の種を取り出して!」
ササッと処理をするイケメン
「パンプキを一口サイズにカット」
ササッと処理をするイケメン
「鍋にそれをぶっこんで水をひたひたになるまで注いで火にかけて」
助さん格さん、もういいでしょう?
だれだよ?
まあいいや、そんなこんなでイケメンがササっと処理をしていく。
「その間にオニオ―の皮むいて。そうそう、白いところは食べられるとこだから上と下を切り取って半分に切ったら薄くスライスだってさ」
もうほんと、お前が読んでやりゃあいいじゃないか。
そう思うがなぜか私が見つけた5冊の本は私以外には読めないんだよ。
これもまあ謎の一つではあるけれど、私が読んであげればそれを書き写せばいいから一回読んじゃえば誰でも作れるレシピが出来上がるね。
ん?
ってことはこれ全部読み聞かせなきゃいけないの??
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