第12話 パンプキは領を救う?

 ごっはん! ごっはん! ごっはっん!!


 リーッフ! リーッフ! リッリーフ!!


 二人はにこやかに厨に向かう。

 厨房の扉の前に立つシャーナとアンドリュー。

 二人とも目に炎を宿している!

 やる気は満々だ!!


 ガチャ!


 扉を開けるとそこには、数人の料理人がいた。


 ん?


 レオシュ様から伝えてあると聞いてたけど……

 と思いつつ、挨拶をする。

 私はもちろん、いつものように元気いっぱいだ!!


「おはようございます!! わたしはシャーナ・ホープ。レオシュ様の命令で料理を作りにきました!!」


 すると一人の料理人が話しかけてきた。どうやら彼が私についてくれるらしい。


 見た目は20代前半くらいで、細身で長身。

 髪は茶髪のショートヘアで、顔はなかなかのイケメン。

 そして、その目元には…


「あ、泣きぼくろがある。えへ、えへへ、かっこいい」


「な、なんだい君は? 急に何?」


「あ! すいません。つい見惚れてしまいました!」


「ははは、面白い子だね。まあいい、話はレオシュ様から伺っているよ。今日はよろしく頼むよ」


「はい、任せてください!!」


「さて、食材はここにあるもので大丈夫かい? 足りないものがあったら言ってね」


「はい、問題ないですがその前に! あなたのお名前を教えてください!」


「リフー……」


 なによアンドリュー。

 私も一応年頃なんだからね、そんな顔しないでよ。


「ああ、ごめんごめん。僕の名前はデレク。ここでは主に野菜料理を担当しているよ。改めてよろしくね、シャーナ様」


 デレクさんはにこやかにさわやかに答えてくれる。


 これはもしや? あれか、本に書いてあった恋の予感というやつ?


 まずい、ニヤける~


「どうしたのシャーナ様。具合でも悪いの? 大丈夫?」


 いや、にやけてるだけだから。 コホン。


「ああ、いえ、大丈夫です。では早速取りかかります?」


「あー、少し待ってくれないかな? 料理長がいま出かけててね。先にあいさつしといたほうがよくないかと思うんだよ」


「ああ、そうなんですね。じゃあ料理長が戻るまで野菜を確認しておきましょうか」


 そういうとデレクさんは保存庫に案内してくれた。


 ここは冷蔵庫のような感じで、中にはたくさんの野菜が入っている。

 

 おおお!

 すごい!

 

 これなら何でも作れちゃうじゃん!!

 テンション上がりまくりだあ!


 ふむ、とりあえず何を作ろうかな?


 っと、その前に!!


 とりあえず、書庫で見つけた料理本の一冊を開く。


『見てわかる! 図解入り野菜全集』


 これで野菜を確認していく。


「コムギ・キャベット・トマト・ポテト、この辺りは定番ね。お? これは? パンプキ?! おお! やった!」


「ん? どうかした?」


「いえ、本に載ってたんですよ。これ。パンプキ! ん?  でも違う種類かも」


「そうなんだ。それでどんなものなの? 硬くて包丁も入らないから困ってたんだよね、これ」


「はい、パンプキは種類によっていろいろな土地でも育つようです。種は土質を選ばず、痩せていても日当たりの良い広い土地であれば旺盛に生育し、さほど難しくなく育てることができる野菜、って書いてありますねえ」


「なんだって! すごい事じゃないか! この領を救うためにあるような野菜だなあ」


 ほんと、すごいものが出てきたもんだねえ。

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