第7話 なんだ?

 さて、復活した騎士さんはアンドリューの頭を撫でると干し果物を手渡す。


 「いいんですか?」


 そう聞くと彼女は答えてくれた。


「いいんですよ。もともと私たちの補給用の食料ですし。それにこの子がやったことは間違っていますが負けた私には何も言う権利はないと思います」


 といって胸を張る。


 それでいいのか、騎士さん。

 いいんならいいけどさ。


 というわけで干し果物はアンドリューのものになりました。

 めでたしめでたし


 いやいやいやいや!!


 アンドリューも嬉しそうに干し果物を食べるんじゃない!


 お腹いっぱいになったのかアンドリューはお腹を上にして寝始めた。


 おい!


 騎士さんはアンドリューを見ながら私に話しかける。


「ところであなたは、シャーナ様、でしたか。この小さな精霊? 精霊ですか??」


「あー、ね。精霊だね。なんでだか面倒見ることになったのよねえ。で、あなたは? 騎士さん」


「ああ、申し遅れました。私はセアラといいます。一応、ここのまとめ役みたいなことをやっています。よろしくお願いします。」


 ふむ、セアラね。覚えておきましょう。

 そう思っていると彼女はさらに続ける。


「それにしても、なぜこの精霊様、アンドリュー様はここにいるのでしょうか? 何かわかっていることがあれば教えてくれませんか?」


 そう言われても、そもそも私が聞きたいくらいだし。


「ああ、シャーナ様、そういえば隣の領に行かれるそうで」


 ああ、はい、そうすね。はい


 思い出したくもない。


「うん。そうみたい」


 とだけ答えた。

 するとセアラは何か考えるような素振りをしたあと口を開く。


「もしよろしかったら私の家に来てみませんか? 実はこの館には部屋がたくさん余っていて、しかも空き部屋だらけなのです」


 で?


 部屋が空いているからといって別に私は困りはしないのだが。


「私の部屋に、こっそり貯めたお菓子が」


「伺いましょう!」 すぐに伺いましょう!」


「あ、はい」


 寝たままのアンドリューを肩に乗せセアラの部屋に向かう。


 途中の厩の横を通り抜けるとそこには元畑だった場所がある。


 私がここに来た頃はこの畑にたくさんの野菜や果物がなっていたなあ…


 と思っているとアンドリューが目を覚ます。


「リ? リフ!!」


 突然アンドリューが畑に向かって飛んでいく。


 もう! また勝手に!!


 私はアンドリューを追いかけて走る。


「アンドリュー! どこ行くの! 戻ってきなさい!!」


 しかし、その言葉は聞こえていないようでどんどん先に進んでいく。


 ああ、もう!! アンドリュー!!


 そう思いながら走っているとアンドリューは畑に入って走り出す。


 ハア、ハア


 おいアンドリュー、いい加減にしろよ。


 お姉さんは体力がないことでこの領で3位以内に入れる自信があるんだぞ。


 そう思っているとアンドリューが私の手を引き畑の真ん中に連れていく。


「リフ! リーフ!!」


 アンドリューは畑の真ん中でフワッと浮かび上がると、私に畑を見ろと促す。


 なんだ?


 そう思いながらアンドリューの指差す方向を見るとそこにあったのは……

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