第4話 どうやら違うらしい

 どうしたものかと考えているとあることに気づく。


 あ、もしかしてこいつ、私の魔力に反応してるんじゃないの?


 試しに体から力を抜いてみる。するとフワリと軽くなったように飛んでいく。


 おお、やっぱりそうみたいね。

 で、この子って精霊よね?


 きっとそうに違いないわ!


 なんだかわかんないけど森にいって頼まれたのはきっとこの子のことなんだわ。


 だから私のそばにきたってわけだ。


 うん、きっとそうだわ。


 でもこのままじゃ会話ができないわね。


「そうだ! いいこと思いついた! らよかったのに。

うーん、どうしようかなあ?

 とりあえずこの子に名前をつけましょう! そうすれば会話ができるはずよ! そうと決まれば…… う~ん……」


 名前を付けたら会話できるなんてことがあるのだろうか、という思いもよぎる…


 だがしかし! そこは気にするな!


「そうだ! あなたの名前は、アンドリューよ!!」


 いいじゃないの、なんとなく男の子っぽい動きだったんだもの。


 文句は言わせない。

 だれに?


 などと考えていると緑色の光は一層輝きを増し、羽が生え新緑色の服を着た子どもの姿に変わった。


「おお! よろしくね!!」


 そういうと彼は嬉しそうな顔をして消えていった。


 って、しゃべらんのかーい!


(まあいいや、これでなんとかなりそうね。これ、夢だろうし。さて、いろいろわかんないけど明日起きてから考えることにして寝るかー!! 夢だけど)


――――――


 次の日、朝起きるとまた緑の光が飛んでいた。

 夢じゃなかった。


「おはよう、今日はどうしようかしら?」


(昨日のこともあるから多分何かしらの頼みごとだと思うんだけど)


 しかし返事はない。


「え、まさか無視ですか。ひどい、というか勝手に出てきたんだけど。それにしても、アンドリュー、私に何を訴えているの? 私は何をしたらいい?」


 アンドリューに尋ねてみたけど


「返事せんのかーい!!」


 とツッコミを入れると突然声が聞こえる。


「リフ! リフリフ!!」


「返事するのかよ! じゃなくて! え、なにそれ? ってか、わかんないわよ!」


「リフ!!」


 あ、わかった。きっとこれ。

 お腹すいたってやつだね。

 

 はいはい、ご飯食べさせればいいんでしょ!


 はぁ。で、あんた。何食べるのよ?


 そう尋ねると


「リフリフ!!」


 あー、はい。わかりません。


「リフフ!! リフ!」


 一生懸命でかわいいと思いますがまったくわかりません。


 さすがに私でも今この領が飢饉になっているってことは知っている。いきなり見ず知らずの妖精にご飯をあげたいので色々出してくださいって言うのははばかられる。私はできる女だ。言っちゃダメな事くらい理解している。


「リフー! リーフ!!」


 うるさいなもう。

 しょうがない。



 テッテレ~♪

 

 干し果物~


 っふ。

 昨日ちゃんと部屋を出る時にくすね、いただいておいたのだ!!


 わはっはー!!


「はい、これあげるからおとなしくしていてね。」


 そう言って渡そうとすると


「リ、リフ」


 どうやら違うらしい。


 だめなのか、だめだというのか!?

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