第2話 新しい日常

 皆さん、ご無沙汰しております。怜奈です。

「どおっ!?今日の目玉焼き、僕の自信作!おいしい?おいしい??あと、無自覚誘い受け?って、どういう意味?」


ただいま、犬系きゅるきゅるイケメンと仲良く朝食なうです。

いやー、イケメンを見ながらの朝ごはんはやっぱね、おいしいね!うん!

そしてかわいい顔してとんでもねぇこと言ってるのも萌えるね!うん!

…まずい。私は引きつった笑顔をうかべ、手汗まみれの手でズボンを握りしめていた。


何がおきたかといいますと、遡ること10分前。

男に生まれ変わってる!?──という驚きよりも、私は自分の体に夢中になっていた。顔やスタイル自体はあまり生まれ変わり前と変わっていない。ただ、男のブツがついただけ、みたいな。いやなんで!?どうせ男にするならもっと背の高い王子様系イケメンにしてよ!!そしてモテモテハーレム気分を味わってみたかった!!

と思いながらも。

「実際のモノって、どうなっているのかな…」

実は前世、ひとつだけ尚ちゃんに隠していたことがあった。たまに、たまーにはずむ私のバイト代。そう、私は同人誌を描いていた。ごめんね、さすがに中二の弟に

「お姉ちゃん、尚の好きな漫画のキャラが●●シて●●●●シてる絵を売ってるんだあ」

なんて言えなかったッ!!許してくれ…この卑猥な姉を許してくれ…

誰が卑猥じゃ!あれは神聖なる愛の儀式だぞ!!なんて一人で語りながらも。

「ちょっと見るだけ…ちょっと…」

迫る現実に目を輝かせ、ズボンに手をかけた、その時。


「こんこんこーん!新しい寮監さん!一緒に朝ごはん食べませんかー?」

軽快なドアのノック音…の擬音語と共に、かわいらしい高めのハスキーボイスが聞こえた。

「は、はい…!」

慌ててズボンのファスナーをあげ、ドアを開けると、

「あなたが新しい寮監さん?はじめまして!」



7時45分、三枝怜奈はイケメンのキラキラスマイルをくらった!会心の一撃!

そして震える指を彼に向けて一言。

「君、絶対無自覚誘い受けじゃん…」

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生まれ変わった腐女子、男子校寮の寮監になる。 @Shion_21

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