第4話 ライバル出現

日課のランニングを実施していると、野良犬がいつも並走して来る。毎度ながら、小汚い犬だ。ヨダレは垂らしっぱなし。歯周病なのか、口から腐った臭いを撒き散らせ、毛並みも遠目だと綿埃の雑種犬だった。


雑種犬と断言したが、実際問題、汚過ぎて犬種など分からない。下手をすれば犬ではないパターンも有り得る。

狼だったらどうしようと思っているが、今の所、凶暴な所は見当たらない。逆に大人し過ぎる。

時々、子供に石を投げられ、高校生くらいの男子には、追いかけ回されている。でもそんな、状況下でも吠える事はせずに、逃げるだけ。

何度か、助けようともした。

けど、その犬は僕の手を煩わせる事も無く、逃げるという手段で問題を解決する。


まるで能力がある僕みたいだ。

無駄な事はせず、じっと耐える。

ヒーローではないか!

そして、僕の日課であるランニングいや訓練に、進んで参加。もうこれは好敵手と書いて、ライバルだ。


今日も彼は、ヨダレを撒き散らし、僕に並走する。


負けないよ。

ライバル!


続く。

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ライトノベルな拳で赤く染めれ 火雪 @hi-yu-ki

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