第5話
チートはやはり偉大なのだと思う。だって、『時間停止』に続き『時間逆行』『空間跳躍』『空間消滅』『時間加速』を習得したんだもの!
(うむ。まぁ上々だろう。これなら魔王討伐に行っても大丈夫そうだな。)
良し。コイツからも大小判を押してもらった。
技能の習得で生まれた達成感に浸っていると、扉が開けられ、この前俺をこの部屋まで案内してくれた侍女が居た。
「勇者様。貴方様のパーティ候補が見つかりました。至急お越しください。」
え?俺そんなん頼んだ覚えないんだけど…?
「え?俺そんなん頼んだ覚えないんだけど…?」
「はい。これは王の命ですから。いくら勇者様であろうとも、一人ではもしもの事があったら大変だと言う事で、この国で最上位の加護保持者が見つかりましたので、勇者様のパーティに加わってもらう次第です。」
「そ…そうだったのか……なら、今から行ったほうがいいのかな?」
「はい。至急お越し頂け。との事です。」
「なら、案内してくれるかな?」
「当然です。了解しました。」
また侍女さんに連れられて道を歩く。
しっかし。この王宮は豪華だなぁ…ホント、凄い技術力だよ。
~~移動後~~
「こちらで御座います。どうぞ、座してお待ち下さい。」
「あっハイ。有難うございました。」
「恐縮です。」
扉を閉め、これから来るであろう最上位加護保持者について思考を巡らせる。
なぁ、どんな奴だと思う?
(さぁな。お前に意識を集中させてる所為で判らん。)
えぇ…判らないのは良いとして、俺の所為かよ…
(だが、最上位加護なら…豊穣神とかだと思うがな。)
ふーん…まぁ、適当に待っておくとしますかね。
◇◇◇◇◇SIDE:アイリス◇◇◇◇◇
リリィの家に泊まらせて貰っている時、リリィ宅に何か王国騎士団が来ていた。王国騎士団とか言う奴らが来ていた。 大事な事なので二回言った。
まぁ、当然ながら私に用は無く、用があるのはリリィの方なのだった。
曰く、
「リリィ・アタランテ様。貴殿は我が国でも非常に稀有な『魔神の加護』を持っていると聞き、是非とも、魔王討伐に向かわれる勇者様のパーティに入ってほしいのです。」
らしい。この件に関しては私が介入できる余地は無いので、本人の判断に任せると、「入りたい!」って言ったのだ。「危険だと思うが良いのか?」と言った所、どうしても入りたいそうだ。だったら私が言える事は無いな。
ちなみに、両親は「凄いじゃないか!頑張って来なさい!」と言っていた。頭は大丈夫かと言いたくなったが、寸での所で抑えた。
それにしても、疑問なのは連絡の速さだ。まだ3日しか経っていないが、それほど早く情報が行き渡るだろうか?まぁ、あの初老神官が伝達魔法とか使ったのかもしれないし、考えるだけ無駄か。
しかし、そうなると此処でリリィとはお別れか…まぁ気付かれないように傍にいれば良いか。と考えていたら、「アイリスさんも一緒で良いですか?」と王国騎士団に向かって言っていた。「現場の私には対応出来ないので、お二人とも王宮に来て頂いて王に判断を仰ぎましょう。」と言われた。
私にデメリットは無いので、黙って馬に跨り、王宮に向かった。
~~王宮到着後~~
―――さて、結論から言うと、王からは「勇者様が良いのであれば」と言っていた。まぁ勇者のパーティなので王であっても流石に判断出来なかったのだろう。なので今、侍女に勇者とやらが居る所まで案内して貰っている。
その間、私とリリィは王宮の無駄に豪華な家具やらキョロキョロしていた。
◇◇◇◇◇SIDE:クロノ◇◇◇◇◇
扉がトントンと叩かれる。どうやら来たようだ。
失礼します。と一声掛けられ扉が開けられる。
すると、二人の少女が入ってきた。侍女は一礼して静かに扉を閉めて去っていった。
「あー…まずは自己紹介から始めようか。俺の名前はクロノ・スパルキア・イブリース。加護は『創造神の加護』だ。まぁ宜しくな」
「えーと、私はリリィ・アタランテです。加護は『魔神の加護』です。こちらこそよろしくお願いします。」
赤髪をリボンでサイドテールにした赤目の少女が自己紹介をしてくれた。美少女で十二分に通用する容姿をしている可愛らしい子だ。
「……アイリスだ。加護は無い。どうぞ宜しく。」
黒の髪を腰辺りまで伸ばした黄色目の少女が自己紹介した。随分素っ気ないが何か気に障る事言っただろうか? こちらも美少女であるが、可愛らしいというより綺麗だと言う印象を持つ。だけどアレ?最上位加護保持者って言ってなかったか?
いや、そんな事より……
加護が無いとかあるのか?
(魔神の加護…?何だそれは?そんなもの入れた覚えは無いが…いや、自然発生の加護か?随分と稀な事が起きたな…)
一人で何かブツブツ言っていた。
なぁ、加護が無いってあんの?
(ん?あぁ珍しい事ではあるがまぁ無くはない。そして大体加護未保持者は普通の加護保持者より弱い。)
成る程…だったら、アイリスさんにその辺の確認をしておかないといけないか…
「なぁアイリスさん。貴方ってステータスはどのくらいなんだ?」
「ステータスは測ったことが無いから知らんが、普通の人よりかは何十倍強いと思う。まぁ足手纏いになは無らないいので安心してくれ。」
そっか…それなら不安は残るが納得しておこう。
あっ…そういえばこの世界って伝説の装備とかあるの?エクスカリバーとか
(エクスカリバーかは知らんが伝説の装備ならあるぞ。)
マジか、ならここは前世でゲームをやりまくった者として集めなければなるまい。そして、どうせ集めるなら時間止めて行くんじゃなくてパーティで行きたいよな。
ちなみに、ドコにあるんだ?
(東西南北それぞれの最果ての地にある。ダンジョンだから行くなら気を引き締めるんだな。)
行かないなんて選択肢は俺の中には無い! さぁ行くぞ!そして魔王を討伐する!
「俺はまずダンジョンの中にある伝説の装備を手に入れたいと思う。どうだ?」
「良いんじゃないですか?それに魔王ってその伝説の剣じゃないと倒せないって噂があるらしいですよ?」
リリィはどうやら賛成のようだ。それに魔王は伝説の剣じゃないと倒せないらしい。だけど、またありがちなヤツだな。さて、残るもう一人は…
「まぁ私はリリィの付き添いの面が大きいからな。リリィがいいなら私も行く。」
もう一人のパーティメンバーからも賛成を貰った。なら早速行くか!
あ、あともう一つあったな
「そうえいば、もうパーティ結成ってことで良いのかな?」
「「良いんじゃない?」」
―――これにて正式に勇者パーティが結成された。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
出発して数時間が経った。俺は取り敢えず装備があるところまで進もうと思ったが、リリィからレベルを上げようと言う提案があった。聞けば、リリィはまだ加護を授かって間もないとの事。だからレベルは当然低いし、技の熟練度も足りない。俺とアイリスさんは特に断る理由も無いのでリリィのレベル上げを手伝うことにしたのだ。
「
「ハイ。お疲れさん。」
何やらイノシシと鹿が混ざったような魔物を灰も残さず消し飛ばして倒し終えたリリィに俺は労いの言葉を掛けた。いやコレ明らかにオーバーキルじゃない?
手伝うと言ってもリリィはこの世界において最上位の加護を持っている。なので簡単に俺と近いレベルになったし手伝う事も特に無かった。
「今は大体何レベルくらいだ?」
「えーと…あっ今15になったくらいですかね。」
「おし。それならもう大丈夫そうだな。」
「レベルって案外ポンポン上がるんですねぇ…意外でした。」
何か感覚がバグるんだけど…一般人のレベルって大体2だよね?
(…そうだな…まぁ魔神の加護に獲得経験値数5倍くらいはあるんじゃないか?じゃないとここまで早くは上がらないだろ)
だよな…やっぱ最上位ってスゲェわ。
「んじゃリリィのレベルも上がった事だし行きますか?アイリスさん。」
「そうだな…ところで、別にさん付けしなくても構わんが?」
「分かった。ならこれからアイリスって呼ばせて貰うぜ。」
「あぁ。」
アイリスから呼び捨ての許可を貰った。
「良し、ならリリィのレベルも上がった事だし、早速伝説の装備を整えるとするか!正義と平和の為に!」
「正義…か…」(正義ねぇ…)
これから手に入るであろう伝説の装備に思いを馳せていた俺はイブリースとアイリスの声なぞ完全に聞こえていなかった。ウッキウキなのだ。
そう、なんていったって。俺たちの冒険はこれからなのだから!
(あっ、因みに。俺は次話から居なくなるからな)
(゚д゚)ハァ?
(そりゃそうだろ?俺は原作者代理人。お前ばかりにカマかけてる暇は無いんだよ。)
そりゃ困る!俺は何も知らないんだ!そうだ!この話をもっと長くすれば良いんじゃないか!?
そうと決まればひたすら喋ってやるz
転生したら世界最強の概念存在に遭遇したんだが? 新月鏡餅 @adoruhu6426
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