第843話 雨で汚れ、雨できれいに

我が家の車は以前にも書いたように、8年物である。ディーラーで購入し、「安心メンテナンスパック」にも継続して入っていて、車検もディーラーで受けている。人によっては「無駄に高いお金を払っている」と感じるかもしれないが、細かなことも含め、ディーラーさんにお願いしていると、多少ではあるが、「ここでメンテナンスをしていましたから、基本部分は大丈夫でしょう」という事で、少し下取りに色を付けてくれたり(ちょっとだけですが)、新車購入時にちょっとサービスをしてくれることもあるようだ。


ただ、わたしは、この車で2台目、最初の車もスズキのディーラーで購入したMRワゴン(3代目)で、それほど車を買い替えたりはしていないので、そこまで「上客」ではないのかもしれないが。


それはさておき、8年も乗っていると、あちこちと手を入れてあげるところが出てくる。そういったところも基本はディーラーにお任せである。とはいえ、あまり理不尽なことを言ってくるわけではない。もうそろそろブレーキパッドも交換かなぁ?と思うタイミングで、「ブレーキパッド、半分以下にすり減っているので、交換のタイミングですよ」とこちらから言わずとも提案してくれたりして、助かっている。


最近の懸念は、フロントライトのプラスチックカバーが経年劣化で濁ってきたことだった。前回の車検の時、「もし、この状態で車検の基準を満たさなければ、交換しましょう」と提案されていたのだが、ギリギリ通過したようだ。ただ少なくとも次の車検では交換が必要だし、両側のヘッドライト交換となれば、懐に大打撃である。


最近はありがたいことに、ネットを通じて様々な情報を手に入れることができる。ヘッドライトカバーのプラスチック(ポリカーボネート)のくすみ、黄ばみについてもDIYでの対応法がYouTubeなどでいくつも取り上げられている。YouTubeであれば、「実際に施行して見て、こうなりました」という動画の作りになっているので、よほど変なことをしているのでなければ、参考になるだろうと思っていくつか眺めていた。


ヘッドライトの黄ばみ、くすみは「ポリカーボネート」表面の紫外線による変性が原因、という事は複数の動画でも指摘されていたことであり、私もおそらくそれが要因だと考えている。なので、対策としては、①変性したポリカーボネートの除去(削り取る)、②除去した層の保護、という事になる。市販の「ヘッドライトクリーナー」は①②に対応しているが、②については、保護液を塗布して24時間は「濡らしてはならない」、保護層の硬化には1週間程度かかる、との説明がされていた。職場の駐車場も、自宅の駐車場も「雨ざらし」なので、「24時間濡らしてはならない」となると厄介である。


なので、①のみで何とかならないか、と動画を探してみた。粗目の耐水紙やすりから番目をあげていって、最終的に2000番の紙やすりで仕上げる、という動画を見ると、結構きれいになっていた。


という動画を見たこともあり、くすみ落としも兼ねて、日曜日に洗車した。フロントガラスもそれなりに汚れていたし、しばらくは点検の予定もないので、ドアミラーに水滴がつかない処理(市販の製品を塗布)もしたかった。私の運転技量のために、助手席側のドアミラーに少し傷がついているところを、ペンで塗り塗りしたかったのも理由であった。


日曜日は平日と同様の時間に目を覚まし、朝のルーティーンを終えて、すぐに洗車に取り掛かったので、しっかりと洗車し、ドアミラーの傷に傷保護も兼ねて、色を塗り塗り、ドアミラーの親水処理も行なった。紙やすりをそろえるのも、ホームセンターに行ったり、複数の紙やすりを購入したり、と手間とお金がかかるので、5年ほど前に購入した、「フロントガラスの油汚れ落とし」を使う事とした。この製品、要は細かな研磨剤の懸濁液で、油汚れや水垢のついたフロントガラスを、この液をつけたスポンジでしっかりこすると、研磨ができて油汚れや水垢が落ちる、という代物である。


5年前に購入したものなので、残念なことに付属していたスポンジはお亡くなりになられていた(触るとポロポロ崩れていった)が、たぶん液はまだ使えると判断し、別のスポンジにつけて、左右10分ほど、かなりしっかりとこすった。


こすり倒した後に水で液(コンパウンド?)を流すと、ヘッドライトはずいぶんきれいになっていて、思わず、「おおぅっ!」と声が出てしまった。90%近くはくすみが落ちたように感じた。ちょっと感動していたが、水が乾いてくると、再び、くすみが目立つようになってきた。


何のことはない。コンパウンドで磨き、変性した部分は削り取れたものの、ミクロの傷がついていたのである。水で流すと、その傷に水分子が入り込み、傷が目立たなくなっていたのが、水が乾いて、そのミクロの傷が目立つようになっただけのことである。


そういう点ではやはりステップ②が必要ではあるが、今回の作業で、7~8割はくすみが改善したので、まずまず良しとしようと思った。また今度くすんできたときは、頑張って30分くらい磨けば、良いのかもしれない、と何となく感覚がつかめただけでもOKとすべきであろう。


そんなわけで、日曜日に洗車、月曜日は一日中家でグダグダしていた。


どうも私が寝ているときに、黄砂+にわか雨の影響を受けたのだろう。火曜日に出勤しようとすると、車は黄砂と雨の痕でまたドロドロになっていた。挙句の果てに、空を行く鳥が、何かを車の上に落としていってしまった。せっかく洗車したばかりなのに、走り始める前にドロドロである。鳥の落とし物をふき取り、ウォッシャー液でフロントガラスの一部の視野を確保して、昨日は出勤した。


昨日の夜から、近畿地方はずいぶん荒れた天気となった。私の寝室と化している仏壇の部屋(洋室だが)は、外から見えないように、常にレースのカーテンを閉じているのだが、それでも雷の光が何度も「ビカッ!!」と光っては、数秒絶たないうちに雷鳴が聞こえる、という状態だった。雨音も激しい。一度は室内が「バッ!」と激しく光ると間髪を入れず「ドカーン!」という衝撃が走った。たぶんすぐ近くで雷が落ちたのだろう。激しい雨音も聞こえていた。そんな状況だったが、眠気には勝てず、布団を敷いて消灯し、入眠した。


今朝は明るい光が窓から射し込んでいた。昨夜のひどい天候が、少なくともこの地では「嘘のよう」だった。ただ、未明に配達された朝刊はビニールで包まれており、路面も濡れたままなので、雨は嘘ではない。


新聞を取り込んで、新聞を見つつ、ラジオを聴きつつ、朝食を食べた。普段私が料理をするときは、なかなか「調理器具を洗い、片付けながら料理を作っていく」という事ができず、「一度の複数のことをこなせないと駄目だよ!」と妻に叱られるのに、「どうしてあなたは、ラジオを聴いて、新聞を読みながら、朝食を食べるわけ?一つのことに集中しなさいよ」と全く逆のことで同じように叱られる理不尽に耐えながら、朝食をとり(朝のラジオは私の中では「時計」替わりなのだが)、ラジオ体操の始まるころに家を出た。


さすがに昨日の豪雨は激しかったようで、車は昨日の「黄砂でドロドロ」が嘘のようにきれいになっていた。やはり洗車はしておくべきである、と思った。


昨日は、「雨で車がドロドロ」になり、今日は「雨で車がきれい」になった。面白いものである。

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