第842話 お笑い芸人さんが頑張っても、なかなかここまで笑えない

我が家でテレビのスイッチが入るのは日曜日の夕方~夜だけである。私も、妻も実家ではTVがほぼつけっぱなしの家で育ったのだが、一つは、妻が「静かな環境が好き」ということ、一つは、私が研修医のころ(つまり子供が生まれたばかりのころ)、日本小児科学会から、「テレビに依存した子育て(子供を静かにさせるために、家事をしている間幼児にテレビを見せておく)は子供の脳の発育に良くない可能性があり、テレビを見せることを推奨しない」という見解が発表されたこと、一つは、「食事は家族の会話の時間」と妻が位置付けたことで、子供が生まれてからの我が家ではテレビをつけることがよほどの理由がなければなくなった。


もちろん、金曜ロードショーで「見たい映画がある」など理由があれば、TVを見せていたが、少なくとも「常にTVがついている」状態ではなく、「TVが消えている状態」が基本であったし、今もそうである。


TVを見ない生活習慣が、実際に子供にどのような影響を与えたか、というのは評価が難しいところであるが、実際問題としては、子供たちは基本的には「活字」好き、本好きである。図書館から借りる本については妻が管理していたが、家族全員の「市営図書館」の利用カードを管理し、本を予約し、貸し出し、返却をつい2年ほど前までは毎週行っていた。多いときには、毎週40冊くらい借りて、返して、ということを行なってくれていた。なので、子供たち二人の読書量は本当に莫大なものである。私の子供のころとは比べ物にならない。


前職場の理事長先生のご家庭も、TVを見ない生活を送られていた、と伺ったが、その影響なのか、もともとのご両親の遺伝子+環境(自宅に個人で研究室を作っておられ、子供さんたちとたくさんの実験を行なっていたそうだ)もあるのだろうが、お子さん3人とも医師になられ、そのうち二人は東京大学医学部に進学されたそうだ。


高校生になって、スマホを持つようになると、YouTubeを見るようになり、TVをつけない生活、の意味はなくなってしまったが、それでも、小さいころの良い影響は残っているのかもしれない。


閑話休題。そんなわけで、昨日、テレビを見ていた。CMで「新入社員19人のうち17人がすでに退職した」いなば食品のCMが流れてきた。やはり味付けなどを考えているのだろうか、ネコやイヌが喜んで、製品をペロペロと舐めている。


そしてCMの最後に「いなば!」とアナウンスが入り、社名とその下に、確か「すべての犬を幸せに」のメッセージがあったと記憶している。同社のモットーは「世界の猫を喜ばす」なので、そちらのメッセージだったのしれない。いずれにしても、


「動物を幸せにしようとするのに、新入社員は幸せにしようとしないんか~い!」


と、思わずツッコミを入れてしまい、不覚にも大笑いしてしまった。お笑い芸人さんが、必死になって頑張っても、なかなかここまでは笑えない。


「死ぬほど笑える」、全く笑えない話でした。


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