第818話 第三者が「親権」の一部を持つことはできないのだろうか?

ソースは共同通信。Yahooニュースより


<以下引用>

衆院で審議されている離婚後の共同親権を導入する民法などの改正案に関し、虐待やドメスティックバイオレンス(DV)被害者の支援に取り組む団体などが29日、導入に反対する集会を国会内で開いた。加害者との関係が続くことなどを不安がる子どものメッセージを紹介し「切実な声を聞いて」と訴えた。その後、国会前で約700人が廃案を求めて抗議行動をした。


 集会では、ひとり親支援団体に寄せられた子どもの声を紹介。父母が別居中、父親から手術の同意書にサインしない嫌がらせを受けたという9歳の子は「世の中は子どものことを考える優しい父親だけではない。共同親権には反対」とした。

<引用ここまで>


離婚の際、子供の親権は「共同親権」とする、というのが世界の趨勢のようである。離婚、離婚後の生活の中で、「子供」をどのように扱うか、というのは極めて難しい問題である。父親、母親どちらとも、「子供を大切にする」人もいれば、「子供に対していい加減」な人もいるわけである。これまでの日本では「圧倒的に」女性が親権を持つ場合が多かったが、最近の報道では、「親権者」である母親のネグレクトや、母親の新しいパートナーからの虐待、ひどい場合にはそこから死亡に至る、という事件が頻繁に報道されている。その一方で、毎月、決められた養育費を支払っているにもかかわらず、子供と面会ができない、あるいはおそらく母親から何かを吹き込まれ続けたのだろうか、そのような父親との面会を拒否する子供、という事に苦悩する、「子供を愛するが親権のない父親」の声が取り上げられることも多い。


昨年問題になったことだと記憶しているが、福原 愛氏の「長男連れ去り問題」。最近解決したとニュースになっていたが、確か共同親権で、養育の担当は父親の江氏、台湾で養育する、という約束で離婚となっていたかと記憶している。「共同親権」となっていても「連れ去り問題」が起きるわけで、「単独親権」となれば、親権を持たない「誠実」な親にとっては、非常に残酷な仕打ちとなるわけである。


「親権」の在り方と、「子供を守ること」とは本来は別次元で考えなければならないことである。


「単独親権」論者の矛盾は、この記事の最後、9歳の子供の言葉に「如実」に現れていると感じる。曰く、


「世の中は子どものことを考える優しい父親だけではない。共同親権には反対」


本当に論理的思考ができる親であれば、このような飛躍した論理を注意しなければならない。「これは偏見であり、非論理的である」と喝破しなければならない。


親の仕事を本当に要約するなら、「子供を「社会の構成員」としてふさわしい論理的態度、理知的行動をとれるようにすること、子供の中に、「社会的善悪」「倫理的善悪」の軸を養う事」ではないか、と私は思うのだ。決して「社会の歯車に仕立て上げる」という意味ではない。自分自身がそうであるのと同等に、子供たちの中に、「善悪の判断基準」「倫理観」を養い、自分自身と同様に、この社会を担う一員として適切な存在にする、という事だと思っている。


だから、本来なら、子供のこの発言を聞いた親は、「世の中には「ひどい父親」だけでもない。子供のことを考える優しい母親だけでもない。それを踏まえたうえで、あなたは「共同親権」の可否をどう考えるのか?」と問わなければならない。この問いに「考え込むことがない」子供であれば、その子供の意見は「母親の偏見」の押し売りにとらわれてしまっているだけである。責められるべきは、この発言を許した母親の「非論理性」だと思われる。


ただ、現実として、モラハラDV父親が、母親を永遠に苦しめるために、子供を道連れに自殺したり、逆に親権をえたモラハラ母親が、養育費を流用したり、という事もあるわけである。


なので、親権としては、父親、母親が持つ「共同親権」としつつ、「親権の不適切な使用」を禁止するための第三者機関などにも、「親権の一部、場合によっては全部」を持たせることはできないだろうか?いわゆる、認知症高齢者における「後見人制度」と類似させたようなものとして、子供が成人するまでの間、「親の理不尽」に振り回されないようにはできないだろうか?


変な子供対策にお金を突っ込むくらいなら、児童相談所の拡充、人員確保やこのような制度の創出にお金を掛けた方が良いと思うのだが、いかがなものだろうか?

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