第803話 自分で選んだ車だろうに

今日の訪問診療、来週水曜日が祝日なので、いつもよりもたくさんの患者さんを回っていた。最短コースを取ろうとするとどうしても細い道を通ることが多いので、私が訪問診療を始めた20年近く前から、訪問診療に用いられる車は常に「軽自動車」である。


家から家への移動中、駅前のそれほど細いわけでもない道を通ったのだが、いつもはスムーズに流れている車の流れがつっかえていた。この道の途中はF1などで使われているコースの途中に設けられているシケインのようになっている箇所が1か所ある。そこで、2台の車が向かい合って動けなくなっていた。1台は幅が広くて背の低いスポーツカー、もう一台はミニバンだった。ちょうど「シケイン」のところで「にらめっこ」状態となっていた。


どちらも対向車をあまり考えず、道の真ん中よりを走っていたようだ。ミニバンは後退して、自分の車を道の端に寄せようとしているが、あまりうまくいかない。スポーツカーも「どう動いていいか分からない」というような感じで動かなくなっていた。


横に歩道があるのだが、多くの場合アスファルトの道路と歩道の間には、コンクリートの部分があることが多い。スポーツカーの方は、左の前輪をコンクリートの部分に合わせてコースを取れば、今のミニバンの位置でも十分にかわせるように見えるのだが、どうしても左側の感覚はつかみにくいのだろう。あまり十分に左に寄せられていない。


時に3tくらいのトラックも通る道であるが、なぜミニバンとスポーツカーで行き違いができないのだろうか??と不思議に思った。2,3分ほどミニバンとスポーツカーが苦労しあって、ようやく行き違いができたようである。スポーツカーの後ろには車はおらず、ミニバンの後ろにはタクシー、そして我々の軽自動車が待っていたが、その後は車幅の問題であまり問題なく行き違いができた。


スポーツカーは外国製で、横幅の広い、新車なら1000万円を超える車だった。確かに歩道のガードレールで「ガリガリッ!」とするのは嫌だろう。


車幅感覚に自信がなければ、わざわざこんな抜け道を通らずともよかろう、この地域、狭い道が多いので、乗るべき車を考えればいいのになぁ、と思った。


いくらいい車に乗っていても、かっこよくないなぁ、と思ってしまった。


ちなみに私の車、1200ccの7年物の車である。病院が借りている駐車場の出口、それにつながる道が、本当に車幅いっぱいなので、フロントバンパー、何度かガードレールに「ゆっくり」ゴッツンコしたこともあり、左側のドアミラー、何度か電柱にゴッツンコしている。カー用品店で、傷ごまかし用のペイントを購入してだましている。


私もイケていない運転手である。

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