第775話 悪いのは「頸」なんだろうなぁ。MRIどうしよう?

週明けからこちら、キーボード入力をしようとしたり、カルテを書こうと右肘を軽く曲げ、腕全体を少し前方に出した姿勢を取ると、1分ほどで、右手がピリピリとしびれてくる。しびれ感は、右肩~右母指まで、いわゆる解剖学的な体位を取ると、「外側」とか「母指側」と言われる部分である。


腕にシグナルを送る運動神経も、腕の各部位から情報を脳に伝える感覚神経もちょっと変わった神経走行をしている。


「デルマトーム」と呼ぶが、感覚神経が脊髄のどの高さに入力するか、という事と、どの部分にその感覚領域が分布しているか、というのはきれいに対応していて、私たちが仮に「四つん這いの動物」と仮定すれば、神経が感覚を支配している領域と、その脊髄の高さはきれいな層を形成する。実際は二足歩行なので、話はそう単純ではないのだが、感覚の位置と脊髄の高さは、きれいな層構造を作っている。


ただ、それとは別で、頸椎から出た(あるいは頸椎に入る)神経束は、「腕神経叢」と呼ばれる構造で、様々に合流、分岐を繰り返した後、それぞれの末梢神経がそれぞれ別々の神経走行をして、感覚領域を支配している。


末梢神経の感覚の支配領域は、デルマトームとはあまり一致しない。


なので、しびれ、などの感覚障害が見られた場合には、どのように症状が分布しているか、という事で、「腕神経叢」より遠位(末梢側)でのトラブルなのか、「腕神経叢」より近位(中枢側)でのトラブルなのかが推測できる。


私の腕のしびれは、末梢神経支配の分布図には合わないが、デルマトームで考えると見事に頸椎5番、6番(C5,C6)に一致している。


という事で、おそらく、このしびれは「頸」に要因があるのだろう。


椎体(背骨)を縦に支える靭帯としては、「前縦靭帯(椎体の前面にある靭帯)」、「後縦靭帯(椎体と脊柱管の隙間を走る靭帯)」、「黄色靭帯(脊柱管と椎弓後面の隙間を走る靭帯)」、「棘間靭帯(棘突起をつなぐ靭帯)」があり、脊柱管のそばを通る「後縦靭帯」と「黄色靭帯」については、この靭帯が分厚く骨化してしまう事で、脊柱管を圧迫し、手足のしびれ、ひどくなれば麻痺などを起こす疾患がある。「後縦靭帯骨化症」「黄色靭帯骨化症」と呼ばれるものであるが、少なくとも後縦靭帯骨化症(以下OPLLと略す)では、家族性がある(遺伝的要因が強い)と言われている。そして、私と同い年のいとこがOPLLと診断されている。


今から10年ほど前、起床時に両手のしびれが強いことが続き、OPLLの家族歴のこともあり、頸椎MRIを受けたことがある。その時の所見は、「後縦靭帯の骨化はないが、性状に比べて明らかに後縦靭帯が厚い」とのことだった。両手のしびれはその後も出たり、弾いたりを繰り返しているが、今回のデルマトームに一致するC5,C6領域のしびれについては、続くようなら、MRI評価を行なおうか、と思っている。


私の身体も半世紀を超え、そろそろいろいろ方が出てくるころだなぁ、と思っている。

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